3.散乱したオルゴール ページ3
___ガラッ!
勢い良く裏にある在庫部屋の扉を開ける。
A「___愛律くん…!」
薄暗い部屋をランプで照らす。
床に散乱したオルゴールの破片。
愛律「…………」
愛律くんは床に落ちた壊れたオルゴールを見つめながら呆然と立ち尽くしていた。
愛律「あ……れ……?何か……変……。手の力…っ……急に入らなくなっ………」
ぐらりとその体が傾き、私は必死に受け止めた。倒れ込む愛律くんの体重がかかり、私もその場に座り込む。
A「……!!……っ!?」
愛律「た……立て…ない……。目も…見えない…っ…!!A……側にいる…の…?…」
A「私ここにいるよ…っ?愛律くんしっかりっ……!!」
前髪を分けて現れた宝石の瞳は、虚で私を捉えていなかった。彼の手が宙で私を探し、頬に触れた。
愛律「……A…?そこに……いる…の?…………やだ…な……また………ねむ…る……の………か、なっ………」
途切れ途切れに紡がれる言葉
驚きと哀しみが混じったような声。
それを最後にガクリと彼の体から完全に力が抜けた。
A「待ってて…必ず助けるから…っ!!待っててね……どこかへ行っちゃだめだからね!この体で待っててっ…!!」
何故こんな言葉が出てくるのか
私も分からなかった。
まるで彼の魂そのものに話しかけるような__
女性「___その人形は私が貰っていきます。こちらに渡して下さらない?」
美しい容姿によく合った美しい声だった。
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