95 音信不通 ページ3
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Aとの連絡が途絶えて1年が経とうとしている。
何か遭ったのではないか。そう思い片っ端から怪しいニュースを確認したけど、Aに繋がるような内容は出てこなかった。
こうして表に出て公表されていないということは、特に何も遭っていないか、本当に何か遭ったのは間違いないが何かしら強い勢力が働いて表立って公表されていないか、の2つだ。
できれば前者の方が嬉しいけど、こうも何も連絡がないとなると……後者の方だと思うしかない。
「悠君、今日の検査の結果なんだけど……」
いつも通り告げられる定期検査の結果。
……回復へと向かってはいるらしい。それでも、運動ができるまでは時間がもう少し必要であるそうだ。
看護師の女性にお礼を言い、ベッドの上から見送る。一人になった俺は意味もなく窓へと視線を流す。
窓の外をボーッと眺めるけど、特に面白いものはない。
……今日も何の変哲もなく俺の日常は流れていく。今までと変わった事があるといえば、Aがいないことだ。Aがいなくなったことが影響してか、俺はテレビでサッカー関連を見る事ができなくなった。見てしまえばAを思い出してしまうから。
たまに入院している小さな子供達がサッカーをしている姿を見かける。それを視界に入れると条件反射みたいに目を背けるようになった。
「……今度こそ、独りぼっちになるのかな」
誰にも心配されず、最愛の妹に知られる事もなく俺はこのまま逝ってしまうのだろうか。
……いや、回復傾向へ向かっているのだから今は死なないだろうけど。
だが、いずれ人間は死ぬ。命あるものには必ず寿命というものがある。……寿命で俺がこの世を去るとき、あいつは悲しんでくれるだろうか。そもそも……俺が死んだことを知ってくれるだろうか。
「……こんな気持ちになったのは、父さんと母さんがいなくなった時以来だ」
あの時の俺はまだ子供で、両親がいなくなったことが不安でしかたなかった。だけど、その悲しみを抑え込まなきゃいけなかった。俺はAのお兄ちゃんだから、あいつを安心させないとって。だけど、そのAも……。
「……A」
Aと最後交わしたチャットアプリを開く。そこに表示されている日付は去年のものだ。
何もできない自分に腹が立つ。
何よりも腹が立つのは……いつになく弱々しい、らしくない自分自身だ。
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恵野(プロフ) - 青碧さん» コメントありがとうございます。惹かれるなんて嬉しい言葉、ありがとうございます…！ 実は書きながら履修している状態だったりします汗 ちょいちょいオリジナル展開を挟ませていただいているので、履修する際はお気を付けください…！ (2022年5月17日 21時) (
レス) id: 78dc1b910c (このIDを非表示/違反報告)
青碧(プロフ) - 初めまして、青碧と申します。文章の書き方に惹かれて気づいたらここまで読んでおりました…そのくらい惹き込まれる展開でございました！アレスは未履修ですが楽しく読ませていただいております！これからも応援しております！ (2022年5月17日 21時) (レス) id: d3cfc8958d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：恵野 | 作成日時：2021年11月7日 15時
