光輝く破壊天使 (ページ44)

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もう何度目になるか分からないAの部屋の前に向かい、中にいる少女を呼び出す。
お決まりの流れになった、彼女の服を選んでそれを着せる。勿論、フード付きのものだ。

「今日はどこの試合を見に行くの？」

「星章と緑ヶ丘の予選試合だよ」

今まで星章と雷門の試合はすべて観戦している。今までの行動で予想出来るだろうに、それすらも考えられないとは。
……本当に指示があるのを待っているだけの機械のようだ。

＊＊＊

「あっちの席が空いてるみたいだ」

星章学園スタジアム
空いた観客席を探していたときだ。

「ところで、竹見の件ですが……彼はもう限界のようですね」

「そうだね。彼の目には感情が表れ過ぎていた……あれは弱い人間の目だ」

竹見……竹見幸助
王帝月ノ宮の2軍のメンバーだ。

何が限界なのかというと……アレスの天秤プログラムの適合にという意味だ。
少し前から出始めていたものだが、ここ最近の様子だとそろそろ見切りを決めた方が良さそうだ。

「でもいいさ、代わりはいくらでもいるからね」

そう、代わりはね。
西蔭にそう言いながら歩いていた時だ。

「待てよ。テメェ、今なんて言いやがった」

後ろから聞こえた声に足を止める。
振り返ればそこには見覚えのある人物がいた。

「灰崎君じゃないか」

こちらを睨み付ける灰崎君。その隣には雷門の10番君がいた。
僕の前に出た西蔭に「大丈夫」と下がるように言い、数歩前に出た。

彼は僕に用があるようだ。ならば応えてあげないと。

「人間が弱くて悪いのかよ！テメェは何様のつもりだ！？」

「それは、戦ってみれば分かるんじゃないかな。……少なくとも、君達よりは上のレベルの人間さ」

「もっとも、木戸川清修程度に苦戦しているお前達では、野坂さんを本気にさせることはできないだろうがな」

「ほざけ！テメェらは俺がぶっ潰す！！」

灰崎君の感情的な目がこちらに向けられる。
これは……”怒り”だ。

「灰崎君……君はどうしてそこまで僕達に敵意を向けるんだい？」

「何も知らないとでも思ってんのかよ……！『アレスの天秤システム』……その薄汚いやり方をなァ……！！」

へぇ、知ってるんだ。アレスの天秤システムについて。
しかしアレスの天秤システムは世間に一般公開されている。……まぁ、あの事について以外だけれど。

それだけでここまで敵意を向けられるのは分からない。
……あの言葉を灰崎君から聞くまでは。

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