光輝く破壊天使 (ページ36)

今日:9 hit、昨日:29 hit、合計:72,900 hit

33 ページ36

・

ハーフタイムが終わり、後半戦が始まった。

「……予想通り」

思っていた通り、帝国の動きが変わった。
雷門は急に動きが変わった帝国に驚いているようだ。

「……あれ、今度は雷門が遅いね」

「見ていたら分かるだろう。雷門はスタミナが切れかかっているんだ」

「前半戦かなり飛ばしていたもんね」

「Aの心配が的中したんだよ」

少しずつだが西蔭もAと会話するようになった。それも敬語抜きでね。僕としては嬉しいかな。いまだにAは僕としかまともに会話をしないからね。

「あの様子だと……気づいていない？」

「そう。急に変わった展開に対応しようとして夢中になっている雷門は、自分たちの体力が切れかかっている事に気づいていないんだ」

「……そっか」

「雷門の良さは適応力の高さ。どんな状況にも柔軟に対応できるのが最大の強みだ」

君の様にね
チラッと隣にいるAに目線を落としたが、フィールドで起こっている状況の方に興味がそそられるのか、反応は返ってこなかった。

「それを逆手に取ったのが、スパイクで態とスピードを遅くする作戦という訳ですね」

「敵チームの得意分野を殺し、調子を崩す……影山監督が帝国に持ち込んだ戦略さ。それこそが帝国の対戦チームが続々と調子を落とすからくりと言う訳さ」

ゲームで例えるならば、雷門にとって前半戦はイージーモード。後半戦はハードモードと言うべきかな？

「＿＿＿雷門は人が変わっても考えない奴ばかりなのか」

「！」

まただ。
前にも同じような事があった。

初めてそれを聞いたのは、彼女を初めて外に連れ出し雷門と美濃道三の試合の時。
次に聞いたのは、星章学園と木戸川清修の試合の時。

雷門と美濃道三で口にしたのは『おめでとう、雷門』
星章学園と木戸川清修で口にしたのは『相変わらず腹立つ三兄弟だ』
そして今、彼女が口にしたのは……『雷門は人が変わっても考えない奴ばかりなのか』

僕の中では彼女の記憶は全て消えていると思っていたんだけど……違うのか？
それとも……いや、それはないはずだ。彼女が記憶を失ったフリをしているなんて事は。

ならば……どういう事なんだ？

「A」

「なあに、悠馬」

……いやそれは考えすぎか。彼女の中に別人格が生まれているなんて事は。

・