光輝く破壊天使 (ページ20)

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「あれは……」

キャ～ッ！
……と言う黄色い歓声が辺りを包む。その中心にいたのは、何処かで見た様な顔の人。

「王帝月ノ宮の野坂君です！いつみてもかっこいいですね～！視察で来てるのかな？」

「……野坂君？」

「ほら、この間プレイヤーズカードで人気だって教えたでしょ？」

そうだ。
この前つくしさんからプレイヤーズカードって言うもので見せて貰ったカードの中にあった顔だ。

「それで？彼はすごいの？」

「戦術の皇帝って言う異名を持ってて、プレイもすごいし顔も整っているの！更には勉強もパーフェクトらしくて、三拍子揃ったプレイヤーなのよ！」

「ふーん……」

つくしさんから野坂君と言う黄色い声援の中心にいる人物を見る。
数人の人に囲まれていて、こちらからは見えにくいが隣にいる人物と手を繋いで歩いているように見える。

その人物はパーカーに付いているフードを被っていたため、顔が見えなかった。
分かったのは身長が低いという事だけ。

「あれれ～？少しは興味がわいたかな！？」

「ぜーっんぜん」

野坂とその周りにいる人達はそのまま観客席へと消えていった。
黄色い歓声は彼の姿が見えなくなるまで続いた。

「ねぇねぇ、さっき野坂の隣を歩いていた子もサッカー選手なんですか？」

「うーん、そうなんじゃないかな？顔が見えなかったからはっきりとした事は言えないけど」

「誰なんだろう……？そもそもなんでフード被っていたんだろう？」

「確かに不自然よねぇ。普通、屋内では外すものよね」

彼らと歩いていたという事は中学生である可能性が高い。
でも、中学生にしては……それも男子ならばかなり低い方に入る。

人間には個体差というものがある。
それを理由にされればそこまでだが、私は低身長であるサッカープレイヤーを知っている。……まあ女子だけど。

「そういえば……あの人、何処の強化委員に行ったのかしら」

記憶にあるその女子は、ユニフォームを着て髪を下ろせば男子にしか見えない人物。
そして、私の事…いや、生徒会女子かな。それを気に入らないと言った目で見ていた。

「……ま、私には関係のない事ね」

「？何か言った？杏奈ちゃん」

「いえ、何も」

今あの子が何処で何をしていようが私には関係のないこと。
何処まで考えようとも、彼女も雷門の誇りであるサッカープレイヤーの一人でしかないのだから。

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