光輝く破壊天使 (ページ17)

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「お、美濃道三が動いたね」

残り時間10分を切った所で漸く動きが変わった。
前半戦から続いていた我慢比べだったが、先に折れたのは美濃道三だ。

美濃道三はフォーメーションを変え、要塞守備ごと攻め上がってきた。
次々と雷門メンバーが吹き飛ばされていき、遂にはゴール前。

「……！」

美濃道三のシュート……と思った時、立ちはだかるように前に現れたのは雷門の5番君。
そして、彼の背後から現れたのは……壁だ。

「“ザ・ウォール”！」

“ザ・ウォール”と呼ばれた必殺技は美濃道三がシュートする前に止めた。
雷門はその流れに乗るかのように前線へとパスを回していく。

そして雷門の11番君にボールが渡った。

「“ファイヤートルネード”！」

豪炎寺修也の必殺技である“ファイヤートルネード”が美濃道三のゴールへと突き刺さった。

1-0
漸く雷門に先取点が入った。

“ザ・ウォール”は現在、強化委員として美濃道三中に所属している壁山塀吾郎の必殺技だ。そして、“ファイヤートルネード”は誰もが知る豪炎寺修也の必殺技だ。

その必殺技を使う雷門のメンバーに注目が集まるのは時間の問題かな。

「どうだいA、雷門は」

純粋に聞いてみた。
すぐに返ってくると思ったが、いつまで経ってもAからの返答はない。
どうしたのかと思い、隣を見下ろした。

「……っ、うっ……！」

そこには予想もしない光景があった。
視線を向けた場所にいたのは頭を抑えて苦しそうにしているAだった。

「A、どうしたんだい」

「ざ、うぉーる……ふぁいあ……とるね、ど……ッ」

痛みに耐えるかのようにAは二つの必殺技を呟いていた。

“ザ・ウォール”と“ファイヤートルネード”
その必殺技を苦しそうに呟くAの息はとても乱れていて。

「…………落ち着いた？」

「……すみません、悠馬」

「良いんだよ。急にどうしたんだい？心配したじゃないか」

しばらくして落ち着いたAは、呼吸を整えながらも僕に説明しようと口を開いた。

「何故かさっきあの技を見た時、頭に痛みが走って……段々と酷くなって」

今の言葉で僕の中である仮説が浮かんだ。
……AAは記憶を失っている(・・・・・・・・)。だが、それを無理矢理思い出そうとしているのではないかと。

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