光輝く破壊天使 (ページ1)

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prologue ページ1

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あの日、Aの元に一つの電話が掛かってきた
その内容を聞く前にAは部活を放って飛び出してしまい、聞く事ができなかった。

「Aの奴、かなり慌てて出て行ったな……」

「何かあったんだろう。……あの様子から考えられるのは、彼奴の兄関連とか」

最近分かった事なのだが、Aのお兄さんは稲妻総合病院に入院しているそうだ。お兄さんは運動を制限される程の病気を患っているらしく、Aがサッカーを辞めた原因になっていたそうだ。

しかしAはサッカー部の活躍を見ていく内に『サッカーをしたい』という気持ちを取り戻し、そしてこのチームとサッカーしてみたいと思うようになった。
そして遂に＿＿＿世宇子中との決勝戦で勝ち、優勝したことを機に漸くサッカーに入部したのだ。

今年の秋から行われたFFでスタートメンバーに選ばれたAは、夏のFFの対戦校だった秋葉名戸のような好き勝手(？)なプレーはなく、綺麗にサッカー部に溶け込んでいた。

練習中の姿を見ていたけれど、まだ入部して日数が経っていないというのにAは簡単に順応していた。
これもAの実力なのかな。

『聞いてよ春奈！兄さんが褒めてくれた！！』

その大会で優勝したAは大好きなお兄さんに早速報告したようで、そのことを嬉しそうに話してくれた。
しかし、その喜びを打ち破るような出来事が起こった。

＿＿＿スペインの少年リーグ優勝チームである『バルセロナ・オーブ』とのエキシビションマッチで私達雷門中が完敗したのだ。
1点も決められず、1点もゴールを死守できず……実力は明確だった。
それはAも同じで。

『世界レベルだっていうのも、日本の中ではって意味さ。……実際の世界では底辺だったって事だよ』

そう言っていたAの悲しそうな声は今でも覚えている。
その後私達雷門中は『サッカー強化委員』として全国に散らばることになった。

Aは世宇子中から熱烈な推薦があったらしくそこへ向かう事になっていた。世宇子中のキャプテンさんと会えることを楽しみにしていた矢先に……。

「……A」

どうかAにとって悲しい出来事でないように。

＿＿＿しかしAはその日を最後に学校に姿を現わさなかった。
少なくとも私達サッカー部が強化委員として派遣される前日までは。

そして、新しい春を迎えた。
Aと一切連絡が取れないまま。

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