洋服ダンスの中 ページ6
『紅茶とコーヒー、どっちがいい?』
太「ルイボスティー。」
『おい!……いや、あるけどさ!』
ずかずかと上がりこんだ太宰君。追い出す訳には……いくが。力で敵わずお茶を出す羽目に。
『なんでそんな図々しいの。』
太「Aだから?」
『呼び捨てやめろ。』
そんな歯の浮くような台詞をスラスラと……。普通の女子なら堕ちてるな、こりゃ。
『で、太宰君は私のどんな所が気に入ったんだよ。』
太「優しい所。」
『優しくないよ。もしもの時は容赦なく見捨てるからね。』
太「可愛い所。」
『可愛げないし。見た目のことならモデルとでも付き合え。』
太「全部大好き。」
『私は太宰君の大体が嫌い。』
全部じゃないんだ、と上品に笑う。そういう所だよ、嫌いになれないのは。
『……まあ、そこらへんの男子よりは下品じゃないし。』
太「えー?私だって【ピー】を【ピー】するくらいの度胸はあるよ?」
前言撤回。全部嫌いだわ、こいつ。
『でも、私と太宰君じゃ言いたくないけど身分違いだ。』
太「結ばれない運命ってやつ?」
『そゆこと。』
太「燃えるね。」
どこがだよ。諦めろよ。
どうやって太宰君の鋼のメンタルをぶち壊してやろうかと考えていると、太宰君が洋服ダンスを漁り始めた。
太「さーて、Aの下着はっと……」
『【ピー】するぞお前!』
太「ええっ、酷いなあ……私はこれでも紳士d……。」
先ほどとは正反対のことを言いはじめる太宰君に呆れていると、突然動きを止めた。
まるで、何かを見つけたように。
太「……これ。」
『なに……
___ってなんだ、中学の頃の制服じゃん。こんな所にあったんだ。』
下着でも見られたかと思っていた私がほっとしている時、太宰君は神妙な顔つきだった。
___何か、思い出さなきゃいけないことがある気がする。
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