白衣の天使じゃないけれど (ページ23)

今日:2 hit、昨日:6 hit、合計:41,031 hit

_ ページ23

その後すぐに私のスマホに着信が入るが、相手なんて見なくても分かる。
「もしもし」
『ちょっとA！今しょっぴーとおるん？』
「さっきまでいたけど、翔太くん帰ったよ。ていうか、泊まって大丈夫なの？」
『んー……、ええやろ。一応、泊まれる部屋はあるし』
　確かにゲストルームの様な部屋は準備しているけど、私が言いたいのはそこでは無い。
　でも、康二くんがバレてもいいと思っているならいいのだろうと思うことにした。
「じゃあ私このまま夜ご飯の買い物するね」
『あーええよ。俺今日ちょっと早めに帰れるし、A夜勤で疲れてるやろ？俺が作るよ』
　康二くんは優しい。
　その上気も利くし、康二くんも結構リアコだと思う。
「じゃあ私このまま帰って、１回寝るね」
『オッケー。気をつけて帰ってな』
　電話が切れると私はふと思う。
(白衣の天使よりよっぽど天使だよ)

「同棲してたなんてねぇ……」
　康二くんが作った夕飯を３人で食べながら、翔太くんは康二くんを見てニヤニヤしている。
「いや、そのセリフ何回目やねん」

　それはほんの３０分ほど前のこと。
　翔太くんが到着して、玄関を開けたのは私だった。
　翔太くんは康二くんでなく私が出迎えたことでピシリと固まって、「家間違えた？」とかボソボソ呟いていた。
　それを見た康二くんはイタズラっ子のように笑っていた。
　同棲の事実を康二くんから知らされ、次第に状況を読み込めた翔太くんは、ずっとニヤニヤして康二くんを茶化していた。

「てか、同棲してるなら俺お邪魔じゃん」
「いや、そんなことないよ」
　康二くんが否定すると、翔太くんは窺うように私の顔を見る。
「あ、全然大丈夫です。むしろ私がお邪魔なくらいで……。康二くんには今まで通り、皆と仲良くして欲しいんです」
　康二くんのことはもちろん大好きで、康二くんも私のことを好いて欲しい。
　だけど、不思議とSnowManのメンバーより私を優先して欲しいと思わないのだ。
「SnowManの１人である自分を大切にして欲しいというか。彼女が出来たくらいで、今まで大切にしてきたものがブレるなんて、そんなダサい康二くんは見たくないんです」
　探り探りで紡いだ言葉だけど、何だか自分の中でストンと胸に落ちた。