白衣の天使じゃないけれど (ページ21)

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６．私の気持ちページ21

「はぁ疲れた……」
　ようやく夜勤から解放され、私は家に帰っている最中。
　今日は残業をしていつもより遅く帰るが、康二くんは仕事ですでに家を出ているだろう。
　何となくこのまま帰るのが嫌で、コーヒーをテイクアウトしようかとカフェに立ち寄ることにした。
　携帯の電源ボタンを１回押して暗くなった画面を鏡代わりに自分の顔を見てみるが、なんとも疲れた顔をしていた。
　よくこんな感じで彼氏がいるものだと思う。
(しかも“あの”向井康二だなんて)

　しばらく歩いてカフェに到着し、お目当ての甘みの強いコーヒーを買った。
　疲れたときは甘い物に限るのだ。
「あれ？ Aちゃん？」
　背後から名前を呼ばれ振り返る。
「あ！し、翔太くん……」
　周りの目を気にして思わず小声で反応すると、それを察したのか翔太くんはニコリと微笑む。
「別に気にしなくていいのに」
「いえ、そういう訳には……」
　今や知名度、人気共に爆上がり中のSnowManのメンバーがここにいるのだ。
　バレたら大変なことになるに違いない。
「今日は１人？」
「はい。私夜勤明けで寄り道してたところなんです。康二くんは撮影があるって言ってました」
　翔太くんは美容にこだわっているから、帽子とマスクをしていても、僅かな隙間から肌が綺麗なのが分かる。
　それに比べて私は夜勤明けでボロボロだ。
「看護師さんだったね。お疲れ様」
　目を細めて労を労ってくれる翔太くん。
　優しい声に優しい表情で、私は危うく天に召されそうになった。

「翔太くんはお出かけですか？」
「そうそう。ジム行ってサウナ行って、今から帰るところ」
　朝からジムとサウナなんて、やっぱり意識が高い人は違うなと心の底から感心した。
　彼の美しさはこうやって作られているのだ。