白衣の天使じゃないけれど (ページ19)

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「入るでー？」
　体も洗い終わって浴槽に入ると、康二くんが浴室に入ってくる。
　この瞬間は何度経験しても慣れない。

　康二くんの体は程よく筋肉がついていて、濡れた髪が余計に色気を倍増させる。
　貪欲に笑いを取りにいくバラエティーの鬼のような姿とのギャップに、逆上せてもないのに頭がクラクラしそうだ。

　康二くんはさっさと全身を洗ってしまうと、私の背後から浴槽に入りそのまま腰をかける。
　湯が溢れて流れる音が妙に耳につく。
「ひゃっ……！」
　すると突然項にぬるりとした違和感があり、思わず体が跳ねる。
　思わず後ろを振り返ろうとすると、康二くんはそのまま軽く歯を立てた。
「なっ、なに……？」
「Aはさっくんがええんか」
(やっぱり根に持ってるーー！！)
　いつもは声が高いくせに、こんな時ばかり耳元で官能的に響く康二くんの低音。
「あーあ、俺はAのことだけやのになー」
「ちょ……話しをっ……聞いて」
　べろりと項から肩にかけて舌を滑らせると、そのまま肩に吸いつく。
　思わず体が反応してしまうが、このまま流される訳にはいかない。
「ストーップ！」
　意を決して康二くんに向き合うと、前髪をかき上げて気だるげ(恐らく拗ねているだけ)な表情をした康二くんと目が合う。
　MVや雑誌なんかで見るようなものとはまるで桁外れな色気に、私は思わずゴクリを唾を飲む。
「なんやの」
「あの……私の話しを聞いて欲しいの」