５．私の好きな人 ページ15
「康二くん、今日遅くなる？」
「んー、どうやろ。撮影いっつも押すからなぁー」
今日は康二くんはお仕事で帰るのは夜になるらしく、私１人で家にいるのも退屈だしお出かけしようかなと思っていた。
「出かけるのはええけど気をつけてな」
「うん、ありがとう」
康二くんは基本的にどこに行くにも許可してくれるけれど、ちょっぴり心配性だと思う。
いつも私が１人で出かける時は至極心配そうに見つめてくる。
でも全て彼の底無しの優しさからきていると思うと、大事にされている感じがすごく伝わってくる。
「じゃあ、俺先に行くな」
「うん、行ってらっしゃい」
玄関までお見送りをすると、康二くんはスニーカーを履いて少しだけモジモジし始める。
「ふふふ」
「何やねん」
モジモジする理由が分かった私は、康二くんの可愛らしさに笑みがこぼれる。
そんな私に康二くんは拗ねたように口を尖らせた。
「怒らないでよ」
ツンと尖らせた唇にそっと私の唇を合わせれば、康二くんは満足そうに笑う。
「じゃあ行ってきます」
「行ってらっしゃーい」
玄関の扉が閉じた瞬間、私は思わずバタついた。
「康二くんが可愛すぎる……」
私は本当に幸せ者だ。
しばらくして、お化粧して髪を整えた私は、全身こーじネートされた服装で街に繰り出した。
「ふんふん」
思わず鼻歌だって歌ってしまうくらいに気分が良い。
好きな人が選んだ服装に、好きな人が歌う歌を聞きながら賑やかな街を歩く。
スキップしそうな自分をどうにか抑え、ウィンドウショッピングしたりカフェで休憩したりして、お１人時間をしばらく満喫した。
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作者名：六花 | 作成日時：2022年9月21日 22時
