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やがてSnowManの曲が始まり、９人はキラキラとした表情を見せる。
康二くんもアップで映って微笑んでみたりするし、さっくんだって満面の笑みを向ける。
でも今日は彼氏にも推しにもキュンキュンしない。
元々彼とは住む世界が違うんだと思い知らされる。
そんなこと思いたくない。
でもそれが事実。
鼻がツンとして、思わずソファーのクッションに顔を埋めた。
「ん……」
「起きた？」
ぼんやり目を開けると聞き慣れた彼の声がして、その声の方を向く。
「ごめんな、起こした？」
「あれ……寝てたんだ……」
パッと体を起き上がらせ時刻を確認すると、もうすぐ日付が変わる頃だった。
「康二くん……来てたんだ……」
「ちょっと顔見にきてん」
私と康二くんのマンションはそこそこ近くて、都合が良ければ顔を見せに来てくれる。
「ありがとう」
「ええんよ」
康二くんの微笑みに、女性アイドルと笑い合う姿がフラッシュバックする。
「……どうしたん」
「え……」
康二くんは真剣な顔で私を見つめてくる。
でもさ、言えないよ。こんなくだらないこと。
「どうもしないよ、どうしたの康二くん」
笑い飛ばしてみると、康二くんは私の目元にそっと触れる。
「赤くなってんで」
「え、嘘……」
ハッとして、結局泣いてしまったんだと察する。
「俺そんな頼りないか」
そんなことない、と言おうとして康二くんに視線をやると、康二くんは苦しそうな表情で。
どうして康二くんがそんな表情するの？
「俺な、Aには思っとること言ってほしいんよ」
「……言えないよ」
「……なんで？」
私の蚊の鳴くような声に対して康二くんはすごく優しい甘い声で、私はすでに絆されそう。
「だって……わがままだもん」
「わがまま言うてよ」
優しく優しく頭を撫でられ、康二くんは私をそっと抱きしめた。
「顔見えとらんから言うてみ？」
言ってもいいのかな。
康二くん本当に困らないかな。
私のこと嫌いにならないかな。
不安ばかりで、なかなか言葉が出てこない。
「俺、ちゃんとAが好きやで」
「そんなの……私だって好きだもん……」
「うん分かってる。だから言うて」
康二くんを信じよう。
だって康二くんもこんなに言葉にしてくれてるんだもん。
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作者名：六花 | 作成日時：2022年9月21日 22時
