10の奇蹟 ページ11
胡「やっぱり、Aさんなら合格出来ると思っていました」
胡蝶さんに合格したことを伝えると、嬉しそうに言ってくれた。
胡「桑島さんにも報告しないといけませんね」
A「そうですね!」
胡「ところで、全集中・常中は会得出来そうですか?」
A「それが……なかなか難しくて……」
胡「ふふ。頑張ってください!」
胡蝶さんはわたしの肩をポンと叩いてどこかへ行ってしまった。
あれから我妻君達に教えられたことを毎日やっている。寝る時も全集中の呼吸を維持したり、瓢箪を吹いたり。
会得出来るように頑張っている。今ではかなり長い時間、全集中の呼吸が出来ている。
今日も縁側に座って瞑想中。竈門君から、瞑想は集中力が上がると教えてくれた。
『偽善者ぶるからこうなるのよ』
『疲れたのよ子育ても、仮面被るのも』
『ここに俺の安らぎなんかねーよ』
信じていた子、大好きだったはずの人達が現れた。手を伸ばすけれど届きはしない。
まるで、わたしを拒絶するかのように彼らは遠ざかっていく。
それを追いかけようとは思わなかった。追いかけても意味の無いと分かっている。
彼らの瞳にわたしが映っても、心にわたしはいないのだから。
善「Aちゃん!!」
A「!?」
突然の大きな声に、わたしは現実に引き戻された。
善「すごく悲しそうな音がするけど大丈夫?」
A「音……?」
善「俺ね、耳が良いんだ。呼吸音、心音、血流音で何考えているのかがだいたい分かるんだ〜」
A「すごい……ですね」
我妻君はわたしの隣にストンっと座った。
善「でも俺は音を信じず、人を信じた」
遠くを見つめながら我妻君は寂しそうに呟いた。
善「そのせいで騙されちゃったりしてね。濁った音がしていたのに。でも俺は馬鹿だからさ、同じ失敗を繰り返すんだ」
A「どうして…音を信じなかったのですか?」
善「俺が一番俺を信じていないからかな」
我妻君はぎゅっと羽織を強く握った。そのせいで羽織がシワシワになってしまっている。
善「でも鬼殺隊の皆は違う。皆、優しくて綺麗な音がする。だからAちゃん。安心してここにいる誰かに相談するといいよ」
A「え…?」
善「きっと、Aちゃんの心に寄り添ってくれる。だから、そんな悲しい音をさせないで。一人で苦しまないで」
わたしに顔を向けて、優しく笑う我妻君。目頭が熱くなり、鼻の奥がツンとなった。
A「いつか、我妻君に話させてください」
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桜の砂糖 - れんかさん» ありがとうございます(^-^) 頑張って治します( ̄^ ̄) (2021年2月16日 13時) (レス) id: eba054e15a (このIDを非表示/違反報告)
れんか - そうなんですね、体調が早く良くなるといいですね!テスト頑張ってください!応援してます!! (2021年2月15日 14時) (レス) id: b5b9f86a00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜の砂糖 | 作成日時:2021年2月7日 13時