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1の奇蹟 ページ1

Aside

両親と一緒に外食したのもこんな酷い雨の日だった。だから、今日が丁度いい。

幸せだったあの日と同じ雨に打たれて死ねるのなら、もう現世に悔いはない。

屋上へ向かう階段を意気揚々と上っていると、黒い物体とぶつかってしまった。

その衝撃に耐えられず、私は尻もちついた。

「うわっ!?ごめんね!!」

そう言ってわたしの前に手を出してくれた青年に、動揺しながらも手を掴んだ。

そしてグイッと引っ張って、わたしを立ち上がらせた。

A「わたしも……すみません。」

先輩なのだろうか。こんな人は1年にいなかったはず。単にわたしが周りを見ていなさ過ぎるだけかもしれない。

「本当にごめんね……それじゃ!」

青年は急いでいるのか、階段を滑るように下りて行った。

青年の姿が見えなくなったのを確認して、わたしは階段を上り始めた。

立ち入り禁止と貼ってある扉を開けて、緑色のコンクリートに足を踏み入れた。

フェンスに辿り着くまでに、わたしの体は雨でびしょ濡れになった。

皮膚に制服が張り付いてきて気持ち悪い。

ゆっくりとフェンスを超えて立ってみる。校門やグラウンドが見える。

もう、あの校門をくぐる必要は無い。孤独で辛い毎日を過ごす必要がない。

そう思うと、何もかもが軽くなった。

普通に歩くかのようにわたしは1歩足を前に出した。
傾く体に向かい風が吹く。

まるでわたしを救いあげようとしているかのように。
でも、雨は降り続ける。

もう死んでも良いんだよと言っているかのように。

だから私も瞳を閉じてその雨に身を委ねた。冷たい筈なのなに暖かい雨。

誰かに抱きしめられているのではないかと幻覚する。
そんな幸せな夢は落雷の音と共に消えていった。

2の奇蹟→



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設定タグ:鬼滅の刃 , 我妻善逸 , 竈門炭治郎   
作品ジャンル:恋愛
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桜の砂糖 - れんかさん» ありがとうございます(^-^) 頑張って治します( ̄^ ̄) (2021年2月16日 13時) (レス) id: eba054e15a (このIDを非表示/違反報告)
れんか - そうなんですね、体調が早く良くなるといいですね!テスト頑張ってください!応援してます!! (2021年2月15日 14時) (レス) id: b5b9f86a00 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桜の砂糖 | 作成日時:2021年2月7日 13時

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