二話 ページ2
*
一方、その日の午後。
仕事を終えたエヴァンは、自室の郵便受けに一通の手紙が入っているのに気付いた。
「何だ…？」
普段入っているのは新聞くらいで、手紙など滅多に届かない。
開けてみると、書かれていたのは“今すぐ大広間へ来い。”の一文
一体何なんだ、と思いながらも、エヴァンは大広間へと足を進めた。
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大広間には、既に八人の騎士が集まっていた。
同じように呼び出されたのだろうか。
「よくぞ集まってくれた、我が優秀な騎士たちよ」
いつの間に舞台に立っていた教皇が、大声で話し始めた。
それから皆が自分の方を向いているのを確認した後、再び口を開く。
「そなたらはこの度、守護騎士として神子の護衛につくこととなった。ペアになる神子の名前を読み上げていくから、聞き逃さぬように」
そう言って、教皇はすらすらと、やはり大声で手元の書類を読み上げていく。
エヴァンの名が読まれたのは、6番目だった。
「エヴァン・ナイターの守護する神子は
ライラ・エルフェイン。女だ」
「…エルフェイン？」
思わずぼそりと呟いたエルフェイン、という名に、エヴァンは何か引っかかるものを感じた。
どこかで聞いたような、聞いていないような…
そんな曖昧な感覚に、彼は困惑する。
一体何なんだ……？
「一週間後には任命式がある。それまでにしっかり備えておくように」
そうして話が終わり、教皇とお付きの者が出ていくと、他の八人も大広間から出ていく。
しかし、「エルフェイン」のことを考えすぎていた為にエヴァンはそこから微動だにしなかったし、一言も言葉を発することは無かった。
…一応話の内容は頭に入っていたが。
しばらくして、とうに誰もいなくなった大広間でやっと我に返ったエヴァンは、自分が一人取り残されていることに気づき、一度エルフェインの事は忘れ急いで自室へと戻った。
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