ラズベリームースと、それから。 (ページ7)

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「…え」

私と話したい、という宮近くんの言葉に思わず
驚きで目を見開く

「あの、私ファンだって言ったの聞こえてました？」

「うん、聞こえてた」

「そしたらその…色々とまずくないですか」

「んー、まずいね。だけど、アイドルとして出会ったわけじゃないし、それに」

＂普通の宮近としてもっと話したいなと思ったんだけど…ダメかな？＂

なんて、顔を覗き込まれたら、ノーとは言えなくて。

何より、大好きなグループのメンバーなのに
緊張せず、むしろ心地よさを感じていた
自分がいたのを自覚しているのが決め手だった

「私でよければ、また話してください」

「ほんと？よかった。じゃあこれ」

そう言って差し出されたのは画面に映るQRコード

…もうどうにでもなってしまえ、と勢いに任せて
コードを読み込みLINEを追加する

「じゃあ今度は飲みにでも。
色々落ち着いて話したくなることも出るかもだし」

宮近くんの言葉にそういえば私、彼氏と別れたの
見られてたんだったと思い出す

「もうびっくりするくらい多分話すんで
…引かないでくださいね」

「うん、分かった(笑)
じゃあ、気をつけてね。家着いたら連絡ちょうだい」

ひらひらと手を振ってキャップを深く被り直すと、
ライブでよく見る歩き方で歩いていく

「ほんとに早歩きなんだなあ」

ぽつりと呟いて、＂かいと＂と書かれた
プロフィール画面をぼーっと見つめていた