滅亡を求む不死身な転生者【NARUTO】

お前、聞いてんのか？おい？　後編 ページ48

(何を見て…、)

そこに居たのは手を繋ぐまだ幼い赤髪の兄弟たち、
服はぼろぼろで靴すらも履いていない彼ら。

そんな彼らを見つめるカルマの横顔は、
寂しさをはらんでいた。

ジーっと自分を見る視線に気づいたのだろう
彼はハッとすると私の方を焦ったように見た。

「あ…ごめん、何か言った？」

「いいや。何も…」
私は彼に向けていた視線を
兄弟たちの方に向けて、見つめる。

「あの子達…戦争孤児かな。」
そうカルマに聞かれ、私は頷き肯定する。

「そうだろうな…
戦争は何処もそんなもんだろ…
どうしようもないな。」

戦争だから仕方ない、しか言えない…
今はみんな自分が生きる事に精一杯なのだから、
他人に構っていられる暇も蓄えもないのだ。

「Aは案外…現実主義だね。
もしかして、
彼みたいな子たちを可哀想って
思うだけのたちかい？」

「あぁ、そうだが？なんか悪いか？」

可哀想、哀れだ、
なんて内心少しは思うが実際はそれだけで、
自らそれに対して行動する事はない。

人々の大部分はそう、
そしてそう言う私もきっとそのタチ、だ。

「いや君だけじゃないし、
この国全体がそんなものだと思う。」

彼はお金を机の上に置く、
スッと立ち上がると扉に手をかける。

「でも、A。
それって随分と無関心だと思わないかい？

周りの流れに身を任せるような…

そんなの自分らしく生きているって
言えないだろう？」

そう言うと、外へと歩き出すカルマ。
そんな彼の目は子供達に向いている。

確実に何か面倒な事をする目だ。

「あっ、おい、何処にいくつもりだ。」

嫌な予感がした私は飲んでいた茶を置いて、
御代を机に放り捨て席を立つ。

「お客様っ、お釣りはっ？」

「いらないっ」

店員にそう吐き捨てて
彼を追ってすぐさま外に飛び出した。

＊裏話　前編→←お前、聞いてんのか？おい？　中編

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