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やってられねぇ 前編 ページ25

真っ白な雪景色を背景に
私達は笑い会う。

「綺麗だね、お母さん。」

「そうねぇ…」

まるで今までの時間を取り戻すかのように、
私とお母さんは外に出るようになった。
とは言っても未だに、
屋敷内か、その周辺で渦の国を出ることはないのだが…今はまだそれでいいと思う。

「でも少し肌寒いわ…
A?これ着なさい?」

「ううん、大丈夫。
お母さんが使ってよ。」

「ふふふ、Aは優しいのね。」

これから、少しずつ変えていけばいいのだ。
少なくとも私達の中で、あの時から止まった時間は動き始めたのだから。


しかし、世界はそうはいかなかった。


私の驚異的な、いや、
現実的とは思えない程の再生能力は、
すぐさまそいつの耳にも
入ってしまったのだから。

「A。」

その低い声が後ろから聞こえた瞬間、
お母さんのその小さな肩がわかりやすい跳ねる。

「ぞ、族長さま…」
「…。」

大切な時間を邪魔された
私は無言のまま、大きく顔を歪ませる。

「借りていくぞ。」

しかしそんな事お構いなしに、
やつは私の腕を掴むと力強く引っ張る。

「っ、離せっ!!くそっ…」

「お前には、少々口の聞き方というものを、
教えてやらねばならないようだな。」

大人と子供の力の違いに抵抗が出来ない。

嫌悪感が私の中を埋め尽くし、
いつも私ではありえない口調の声がでる。

「Aっ!!
お待ちください!族長様っ、
どこに連れて行くと言うのですかっ!」

「お前には関係ない。」
そう言って奴はお母さんを突き放す。

「Aっ!」
とても不安そうな顔をするお母さん。

彼女は落ち着いて来たとは言え、
まだまだ不安定さは残っているというのに。

(あまりにもこいつが来る
タイミングが悪すぎるだろうが!!)

何をするかわからない彼女に向けて、
今出来る最善を私は尽くす。

「お母さん!私は大丈夫だからっ!!
お部屋で待っててよ!」

そう大声で言って
ニッと歯を見せ私は笑顔を作り、
お母さんに微笑む。

一人、ぽつんと真っ白な雪の中、
立ちすくむお母さんの姿、
それを最後に見えなくなった。

やってられねぇ 中編→←もうずっと夢の中に居たい 後編



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作品ジャンル:アニメ
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おぼろん(プロフ) - MAREさん» コメントありがとうございます!!ジョジョも大好きなので、どうしてもジョジョネタをぶっ込みたかったんですwww面白いと言ってくれて本当に嬉しいです! (2020年12月13日 15時) (レス) id: 1ee1bd2324 (このIDを非表示/違反報告)
MARE(プロフ) - 面白かったです!初っ端のジョジョネタで笑いましたww主様とは気が合いそうですw (2020年12月13日 10時) (レス) id: 7446762651 (このIDを非表示/違反報告)
おぼろん(プロフ) - 豆腐の角さん» コメントありがとうございます!!いくつも掛け持ちしてるので申し訳ないです。他のと両立できるようにがんばります!! (2020年11月28日 6時) (レス) id: 32dbdc0bea (このIDを非表示/違反報告)
豆腐の角(プロフ) - おお!今度はナルトですね!おぼろんさんの作品のナルトはとても面白いし他にはない作品なので、とても嬉しいです!これからも楽しみにしてます! (2020年11月27日 21時) (レス) id: d448052499 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おぼろん | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2020年11月27日 9時

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