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まだ資料が揃っていない廉に私の教科書を貸した。
席が前後と言う理由もあれば
身内だから貸してあげようと言う個人的理由もあった。
手元に授業を受ける資料が無くなった私は
必然的に隣の海人の教科書を見て授業を受ける。
席をくっつけて寄り添うような形で受ける授業は
海人の香水の香りと定期的に聞こえてくる息遣いで
あまり頭に入ってこなかった。
昼休みになると海人が廉に声をかけて他の男子と
一緒にご飯を食べていた。
その様子を離れた席から友達と一緒に見ながら
昼食を口にしていた。
「 廉くんどう？話しやすい？ 」
「 まだそんなに話してないんだよね 」
「 そっか、授業の合間はみんな集まるもんね 」
まだ初日だから人見知りを発揮するかと思ったのに
今この目に映る廉は口を大きく開けて笑い、
新鮮な関西弁でツッコミを入れている。
「 なんかもう馴染んでない？初日だよね？ 」
友達も同じことを思っていて彼を疑っている。
「 関西の人ってノリがいいから…じゃない？ 」
「 ちょっと無理矢理かも(笑) 」
隣にいる海人も廉の話に笑っていて
海人と廉の笑い声が響くことが
このクラスにとって当たり前になっていく気がした。
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作者名：いと | 作成日時：2020年10月13日 18時
