私のキョウダイ (ページ14)

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翌日

教室に入ると私を先に待っていた廉は

課題となるワークを机の上に置いて女子と話していた。

席に着いた私に気付いた彼は話していた女子を

ナチュラルに無視して「おはよ」と声をかける。

挨拶を返して机の中を覗いていると

「昨日言うてた課題見してや」

とワークで背中を軽く叩いてきた。

手にしたワークを廉に渡せば、お礼を言って

すぐに答え写しの世界へと旅立っていく。

いつの間にか離れて行った女子の背中を目で追って

もう戻ってこないことを確認してから

「あの女子に見せてもらえばよかったんじゃないの？」

と廉にしか聞こえないような小さな声で呟いた。

「あいつが課題やってるとは思えへんもん。

転校してまだ三日くらいしか経ってへんけど

何となくみんなの性格分かってきた」

左手でシャーペンを器用に動かして解答欄を埋めていく。

ヘアーワックスで遊ばれている髪の毛が揺れた。

「 Aが一番頼れるで」

「そりゃあ…みんなより長い時間一緒にいるわけだし」

「そう考えると俺ら一日中一緒やんな、やば」

「何がやばいの？」

私の後ろから声がしたので振り向くと

海人が小さく手を上げて隣の席に着こうとしていた。

「答えの丸写しをする自分がやばい」

「うわー、間に合うの？」

「提出何限やっけ」

「 1限」

「は！ほんまにやばいやん！海人手伝って」

「俺ぇ？」

反対側から頑張って答えを書こうとしている海人に

「左利きの素質あるんちゃう？」と褒め称える廉は

手を止めてその様子をじっくり観察していた。

「なんで手ぇ止めてんの！廉の課題でしょ！」

笑いながらツッコミを入れる海人は楽しそうだった。

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