強襲 4 ページ4
頸動脈を切ったはずが、その感触はなく
背後に移動した彼女の気配を察知する。
貴(…速い!)
コウ「えっ?A様…な、何をなさるんですか?なんで今、私を…」
貴「もうそれ以上くさい演技はやめろよ」
オレはパッと飛んで距離を置きながら、ナイフを自分の顔の前にかまえた。
貴「君が…『florist』だな?」
オレがそう言うと、目の前の彼女は少し俯き肩を震わせた。
コウ「…ぅっ…ふ…」
一瞬泣いていているように見えた彼女は、次の瞬間…鳥たちも飛んでいくような大きな笑い声をあげた。
コウ「あっははははははは!
やっぱり気づきます?気づきますよねぇ!!」
彼女はそう言うと制服の袖口から地面に何かを落とす。
それは…オレのスマホを壊したのと同じナイフ。
貴「…。」
コウ「でもくさい演技なんてひどいですよ。
これもちゃんと私の一面なのに。」
彼女は壊れたような笑みと打って変わり、人形のような整った微笑みを浮かべる。
コウ「いつ私の正体が分かったんですか?」
貴「今だよ…自分からわざと気づかせたクセに」
オレを襲った人間と同じ殺気を放ち、不自然に国外までついてきた後輩…。
そんな奴を仲間だと信じられるはずがない。
貴「捕らえられた襲撃犯が自分たちを『florist』だと名乗ったことを聞いた時、違和感を覚えたんだ。奴らは虹の守護者を探し求め、崇拝すらしていたはず。
なのに襲撃犯たちは容赦なくオレを狙ってきた…虹の守護者がいるかもしれないあの会場で全員を狙ったんだ。それはなぜか。」
オレはナイフを日本刀に変化させ、リーチを伸ばす。それに雨の炎を灯すと、一気に斬りかかった。
貴「すでに…代わりになる虹の守護者がいたからだ!!」
篠突く雨を放つも、オレの刀が切ったのはなぜか木の幹。
貴(幻術…!いつのまに!)
スパナのコンタクトが幻術で隠れたコウを追う。オレは武器を2丁拳銃に変化させるとそれに沼の炎を込めて彼女の足元を狙った。
コウ「わあっ!」
地面が急にぬかるみ、沈んだ彼女はそのまま足を止めることになる。
その首元に、オレは形を戻した刀を突きつけた。
コウ「うっ…ひどいです、A様。
ツナ先輩たちには『コウちゃんを守って』と言ってくださっていたのに。」
それは確かに公園でした会話。
…あの時からオレはすでに見張られていたのか。
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もも - 更新ずっと待ってます! (7月16日 23時) (レス) id: 9e7ed20773 (このIDを非表示/違反報告)
琉玖(プロフ) - ずっと探してた作品がこんなにも長く続いていたとは……!とてもこの物語に夢中になりました (6月4日 7時) (レス) @page27 id: 626e7bbf13 (このIDを非表示/違反報告)
こまり - 続きが気になります…(,,・д・) (6月3日 23時) (レス) @page27 id: fd7a7e37b1 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんず(プロフ) - 本当に作者様の作品大好きなんです!!更新お願いします!!!!! (2021年8月16日 2時) (レス) id: 15d62d88c4 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんず(プロフ) - 最初から読み返してきました!もう更新はされないのでしょうか… (2021年4月8日 13時) (レス) id: df822e1853 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らっく | 作成日時:2019年3月22日 18時