逡巡する想い 4 ページ23
コウ「ああっ、A様ったらそんな顔なさらないで」
不意に、コウがオレの頬を両手で包み込み
必死に顔を覗き込みながら慰めようとする。
コウ「A様のせいではありません。
A様のお陰なのですよ。
貴女が記憶を皆に思い出させてくれたから、我々は存在意義を得たのです。」
貴「…どうして」
コウ「はい？」
貴「どうして、お前にまで記憶が波及される？
お前は未来でも関わりのない人間のはずだ」
夜のおしゃぶりの影響で予期せぬ人物にまでこれまでの記憶が受け継がれてしまったとしても、その人間はあくまでオレたちと何か接点のあった関係者のはずだ。
そうでなければ大勢の人間たちが見知らぬ記憶を受け継いでパニックになっているだろう。
なのに…なぜコウは記憶を受け継ぐことができた？
コウ「わかってらっしゃるでしょう？」
コウの水色の瞳が近づいてきたかと思えば、しっとりとした感触が頬に伝わる。
貴「っ…！」
キスをされたという事実に鳥肌が立ち、オレはとっさに彼女の手を払った。
コウは惜しそうな顔をするでもなく、ただ楽しそうにオレの反応を見ているだけ。
コウ「関わりがない？とんでもない
『僕』と貴女の縁はとても根深いんですよ。
他の誰よりも、似てると言われた白蘭よりも、ずっとずっと…。
だから僕は今ここにいる。貴女に会うために姿形まで変えて、僕はこの地獄で生きているんです」
笑っていない、オレだけを見据える瞳。
この目をオレは知っている。
かつて白蘭がオレに向けた…執着と羨望の色だ。
狂気に染まった人間の眼だ。
コウ「貴女が僕に記憶の断片を見せたのは、偶然ではなく必然なのですよ。
僕らはこうして惹かれあう運命なんだ。」
貴「…そんな身勝手な運命、オレは知らないな」
コウ「知らなくても決まっているのです。
運命ってそういうものでしょう？」
貴「…オレの知る運命は、自分で切り開くものだ。」
目の前の少女…いや、少女と呼ぶべきかもわからない『彼』を睨みつけ、オレは言い放った。
貴「お前の狙いが何かは知らないが…そんな安っぽいロマンチズムが理由でオレたちを振り回してきたんだとしたら………殺してやりたいぜ」
『王』の頃の自分の感覚を思い出すように、目の前の少女を少しだけ本気で憎んだ。
しかし、彼女はそんなものもどこ吹く風とばかりに、オレの感情が自分に向けられたことを心の底から喜んでみせる。
コウ「A様になら、いいですよ」
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もも - 更新ずっと待ってます！ (7月16日 23時) (
レス) id: 9e7ed20773 (このIDを非表示/違反報告)
琉玖(プロフ) - ずっと探してた作品がこんなにも長く続いていたとは……！とてもこの物語に夢中になりました (6月4日 7時) (レス) @page27 id: 626e7bbf13 (このIDを非表示/違反報告)
こまり - 続きが気になります…(,,・д・) (6月3日 23時) (レス) @page27 id: fd7a7e37b1 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんず(プロフ) - 本当に作者様の作品大好きなんです！！更新お願いします！！！！！ (2021年8月16日 2時) (レス) id: 15d62d88c4 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんず(プロフ) - 最初から読み返してきました！もう更新はされないのでしょうか… (2021年4月8日 13時) (レス) id: df822e1853 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らっく
| 作成日時：2019年3月22日 18時
