百三九 ページ39
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「かっ考えておく…」
「時間はないからな」
もってあと数年というところだろう。それまでにどうにかしなければならない。
実はほんの何度かだけ、武田に荒川から文が届いていた。名前は書いていなかったが、くずし字では無い現代の字の書き方からすぐに気付いた。それも、荒川が敵に文を送っていたことを気付かれていたらいつ始末されるか分からない。
「今は織田はどういう状況なんだ?」
「織田は武田の完全殲滅を図っているでしょう。
先ずは殿が私をお許しなさらなければ、城に入ることも出来ないでしょうが」
「まあ、なんとかなるんじゃないか」
重い顔持ちで馬を進める。話題を変えなければと、頭を悩ませていると、高虎がそろそろ…と言った。なんだろうかと、馬を止め、高虎に目を向けた。すると、懐から竹の水筒を出した。それをAに手渡す。
それは、栓をしているにも関わらず鼻につく匂いだった。
「…飲めと?」
「声を変えるものだとか。詳しくはこれを勝手に読んでどうぞ」
小さな紙をAに差し出す、それは荒川のちっさい字が書かれていた。
『これは声を変えられるらしいです、多分。
《自主規制》ていう漫画で見た刺激物を調合した飲み物?です。まずいです。
唇を濡らすように飲み、嚥下してください。
時間が立つと少し掠れるか低くなるかと思います。
多分
急がないと本気で信長さんが厨二病になりますよ』
「なんなんだ、この信用のならない手紙は。
…でも仕方ないな、我慢して飲むか」
厨二病か、今の信長はどうなっているのか見てないし、信長がやっと起きたと思ったら悪い噂しか聞かないしな。
とかなんとか考えながら、まあくっさいそれを口に含んだ。
「ぐ、ぅぐ…」
「大丈夫ですか、A様」
悶えるAの身体を光秀は支えた。喉が痛い、なんだこれ辛いし…刺激物をって香辛料とかのことか?
「ぅ…う…喉が…」
なんとか飲み干して、声を出してみれば声が掠れているが、これはただ咳き込んだ所為だとしか思えない。
「飲んだのでしょう。なら急ぎましょう」
高虎は横目で、飲み干したのを確認すると竹筒をAの手から取り、2人を置いて先に馬を蹴った。すると、光秀が耳元で何かを言う。
「付けられています、早々に織田領へ」
頷き、馬の手網を持ち馬を蹴り、高虎のあとを追った。それに続き後ろを護るように光秀が後ろから追った。
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愛之助(プロフ) - そうです《自主規制》のひとりごとです^^ (5月21日 19時) (レス) @page39 id: 71bd857e36 (このIDを非表示/違反報告)
カケオレ - ま、まさか……薬〇のひとりごと……!? (5月21日 19時) (レス) @page39 id: 1b32a494c8 (このIDを非表示/違反報告)
愛之助(プロフ) - 玲さん» 作品の目次ページにボタンとCSSて書いてあるとこでオフにして貰えたらノーマルになるのでお願いします〜🙏💦 (2022年7月10日 21時) (レス) id: 71bd857e36 (このIDを非表示/違反報告)
玲 - すいません。とっても面白いんですけど背景のせいで文字が見にくいです。 (2022年7月10日 20時) (レス) @page39 id: be882aa841 (このIDを非表示/違反報告)
なーーみ(プロフ) - 愛之助さん» もう本当に感謝しかないです( ; ; ) ありがとうございます。 これからも頑張ってください。応援してます!! (2021年5月17日 22時) (レス) id: af11d71d69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:大手裏剣 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/oh19years/
作成日時:2019年9月29日 1時