良い週末の過ごし方 〔太宰〕 ページ19
麗かな初夏の日。
桜の木は新緑を身に着け、そよそよと柔らかな風に枝を揺らしている。
太宰とAはそんな土曜の午後、ふわあ、と欠伸をしながら漸く目を覚ました。
「おはよー…」
「んー、おはよぉ」
Aはぐぐーっと伸びをすると、再び脱力して蒲団に倒れた。その隣で寝衣のままの太宰がくすくすと笑った。
「起きる気は無しかい?」
「もう眠くはないけど、動く気が起きないんだもん」
そう宣うAに太宰が再び笑うが、その太宰とて未だ上体を起こしただけで、脚は蒲団の中だ。Aは御行儀悪く脚で掛布団を跳ね除けた。それが思いの外よく飛び、太宰の顔面に直撃した。
「あ」
「んぶっ!」
一瞬遅れて、Aは大爆笑した。
「…っあっはははははははは!!ひーっ、あはははは!!」
「ちょっと、A〜!?何するのさ!」
「ごめんごめん、態とじゃないんだって。はー、笑った」
「全く…」
ぶぅ、とむすくれてしまった太宰の頬をAはついつい、と突ついた。
「なぁに、私に非道いことをするAちゃん何て、私知らなぁい」
「子どもみたいに拗ねちゃって…はいはい、私が悪ぅござんしたよ、治」
むぅ、とむくれたまま、太宰はちらりと目だけでAを見た。Aは、寝転がったまま無邪気に笑っていた。
開けっ放しの窓から好風が舞い込んで、二人の寝癖付きの髪をふわふわと揺らした。
「…もう。それで、起きるのかい?」
「今日はこのままで良いよぉ〜。どうせ明日も休みなんだし、ずっと寝ててー…九時くらいになったら、起きてちょっと散歩行こ?」
「えぇ〜、私も一緒に行くの〜?君の散歩は長すぎるのだよ…一体何時間歩かせるつもりなのさ」
「それは、私の気分次第!」
「私にも決定権を頂戴…」
太宰とAの週末は、こうして今週も過ぎてゆく。
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D night(プロフ) - 待ってコメントに恥ずかしい誤字みつけたww (2021年4月20日 22時) (レス) id: 4cc2763b45 (このIDを非表示/違反報告)
D night(プロフ) - ちょーお久の更新…元々するする心算はなかったんだけどね…なんとなく気分で…。しかもアカウント姫ちゃんじゃないし…笑 (2021年4月20日 19時) (レス) id: 1966d427bc (このIDを非表示/違反報告)
yuuna(プロフ) - リクエスト失礼します!太宰治で浮気性夢主様とメンヘラ太宰が見たいです!お願いします!! (2021年1月31日 5時) (レス) id: a73b6209c2 (このIDを非表示/違反報告)
美紅(プロフ) - 翌日、賢治君がいなくなった捜査を開始する敦君谷崎、ナオミ、夢主信号を待つと背後から手に口を押さえられた中原裏通路に連れ去り口にはガムテープを貼られ後ろの手を縄で縛られたポートマフィア、黒蜥蜴、梶井基次郎がいる組合が死んで涙目が唸り声がするです (2020年10月27日 22時) (レス) id: 5e245d9090 (このIDを非表示/違反報告)
カンナ(プロフ) - 嘘吐き姫さん» ありがとうございます。のんびりお茶飲みながらお待ちしております(*´ω`*) (2020年8月24日 20時) (レス) id: ff159071ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:嘘吐き姫 x他1人 | 作成日時:2020年5月11日 17時