-3- ページ4
Hokuto Side
青「お前、いい肉なんだから味わって食えよ！」
「うまいよ、味わってるよ。」
久しぶりに樹と一緒に食べる飯は、『いい肉』とか関係なくて、
めちゃくちゃうまかった。
父さんを失ってからずっと一緒に居てくれる樹は、
父親代わりのようで、どこか友達のような。
でも本当の息子でもないのに、彼の時間を奪ってしまうのはどうかと考えるようになり、
最近は素直に寂しいとか言えなくなった。
気を遣う必要はない、そう思える関係性だったはずなのにな。
青「うめぇ〜、ほら、これも食え！」
「あぁ、うん、ありがと。」
樹はずっと、父さん殺しの犯人を追ってくれている。
それはきっと、俺のためだけではなくて。
だから俺が気にすることはないんだと、思う。
けど。
7年も前の事件だけを追い続けるわけにはいかないから、
プライベートの時間を割いてまで捜査を続けている。
「ねぇ樹？」
青「なに？」
「うーん、あのさ？」
なに、どした？って不思議そうな顔をする樹。
「うん、あのね。 あんまり忙しいと、心配だよ。」
青「…ん？」
「いや、だって、ほら、樹、休みの日も、捜査してるから…」
青「あー、そうだな。 たまには休むよ。」
俺が言いたかったのは、そういうことじゃない。
けど、あんまり触れられたくないんだろうな。
遠回しに、ちょっと踏み込んだ話をしようとした俺を遠ざけるような返事だった。
次、一緒にご飯を食べられるのはいつなんだろう。
またしばらく寂しい日々が続くんだろうな。
そういえば今日、言うタイミングを逃してしまったあの事。
きっと俺だけが知ってる、あの事件に関する事。
俺だって、向き合おうとしてるんだよ。
もう、事件のことで呼吸を乱すこともなくなった。
だから、今日が伝えるタイミングだと思ったんだよ。
青「北斗、どした？」
「ん、あぁ。ごめん、なんでもない。」
でも今じゃない。
またその時が来たら伝えよう。
青「明日からまた、すれ違いになると思うけど…」
「うん、大丈夫。ちゃんと食べて寝るから。」
青「おう、頼むぞ。 なんかあったらすぐジェシーに連絡しろよ。」
「ふふ、最近へーきじゃん。心配ないよ。」
7年も経つと、さすがに時間が解決することもあるんだなと感じていたのに、
現実はそう甘くはなかった。
続く (更新停止中)
お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←-2-
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 58人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こあら | 作成日時：2022年9月24日 22時
