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「彼のために」 ページ6

「亜月ちゃん!」

先生が出ていくと、私は周りからの目線に恥ずかしさやイラつきを感じ廊下へ出ていく。
何がキモいだ。楓ちゃんの気持ちも知らない癖に。
私は無性に涙が溢れそうになり、慌てて右袖で涙を拭う。その瞬間、後ろの方から聞きなれた声が聞こえる。

「待って!」

必死に私を止めようとする声に、私はピタッとその場で立ち止まる。申し訳ない気持ちになり私はくるっと声のする方へ体を向ける。
すると「やっとこっち向いてくれた!」と喜ぶ声に変わる。私は、彼の姿を見ると一気に今までの何かが溢れ出る。

「か、楓ちゃぁん!」

と私は彼の胸にダイブする。それに対し優しい手つきで私の背中を撫でてくれる。まるで、お母さんのような安心感である。運が良いことに廊下には他の生徒はいなかった。

「亜月ちゃん……」

彼は私を撫でる手をそのままに、そう私の名を呼んだ。その声は、気の所為だか悲しさを含んでいたような気がした。

「僕のせいで、ごめんね……」

と申し訳なさそうにそう声を発する楓ちゃん。私はその言葉に涙が止まらなくなる。彼は、他の人と変わらない純粋な女の子なのに……

「楓ちゃんのせいじゃないよ」

私がそう言うとシーンと一瞬静まり返るこの場。その状況に彼は小さく口を開いた。


「僕は気にしてないから、亜月ちゃんもそんなに気にしないで」


彼はそう言って私を慰めてくれている。しかし私にとったら慰めされるどころかより心に傷が入っていく。
もう10年以上も一緒にいるのだから、彼の気持ちが分からないはずがなかった。

この声は、何か悲しいことがあった時の声。
1番辛いのは彼のはずなのに、何故か彼に慰めてもらっている私。私って、本当にカッコ悪い。

しかしそれに返す言葉もなく私は小さく頷いてしまう。
もっと、彼の為に何かしたい。私は唇を噛み締めてそう感じたのだ。

「恋に性別は関係ない」→←「何を言われても」



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設定キーワード:恋愛 , LGBT , オリジナル   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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作者名:雪見だいふく | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mayu02071/  
作成日時:2019年1月9日 20時

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