占いツクール
検索窓
今日:25 hit、昨日:182 hit、合計:1,138 hit

「何を言われても」 ページ5

私はそれに言い返したい気持ちでいっぱいだが、高校では成る可く1人で全てを解決出来るようにと約束したのだ。ただ、このヤンキーとは仲良くなれる気がしない。高校生活初日にこんなことを感じてしまうなんて。


「あ、えと、男だけど、心が女の子で……」


楓ちゃんがそう言うと少しザワつく教室。俯きながらそう言った彼はかなり勇気を出しただろう。自分からこのことを言えたのは初めてだろう。しかしそんな楓ちゃんの気持ちを考えられる脳がないそのヤンキーはその言葉に顔を顰めた。


「は、キモっ」


ヤンキーがその言葉を発した瞬間、私の何かがプチッと切れた。


「んだと、てめぇ!」


隣にいるのだから手を出すのは簡単だ。ソイツの襟をキツく持ち上げると、私は反対の手でソイツを殴ろうとする。しかし、その手は中々ソイツの体に当たることは無い。高校生活初日から人を殴るという問題を起こしたくないのだ。私は握り締めた拳をソイツの体のギリギリのところで止める。

教室からは「うわぁっ!」とか「キャーっ」という叫び声が聞こえる。そして、楓ちゃんは「やめて!」と私を必死に阻止してくる。

その瞬間、ドンッと机を思っきり叩いた大きな音が響く。私達はビクッとし、音のした方を向くとそこには目を大きく見開く松葉先生の姿が。


「静粛に!」


その形相はまるで桃太郎に出てくる鬼だ。その恐ろしい姿を目にすると、皆は一斉にシーンと静まる。そして席を立っていた私も無抵抗の状態で椅子に座る。

そして、コホンっと1つ咳払いをした松葉先生は「次の人」と自己紹介を続けさせる。今、この教室は最悪な空気で満ち溢れている。初日からこんなことがあって良いのか。私は、クラスメイトの自己紹介が全く頭に入ってこなかった。

そしていつの間にか自己紹介が終わっていて、私の精神も終わっていた。
ヤンキーを少し睨むと、目が合ってしまい慌てて松葉先生の方を向く。隣から鋭い目線を感じるが気にしないことにする。


「自己紹介が終わりましたが、」


松葉先生はそう言葉を発すると、私達の方をジッと見つめる。そして、間違いなく私達に向けて言葉を発する。


「皆さん、これから真面目に穏便(・・)に生活をしましょう」


「う“っ」と私は、隣の席の奴と声が被る。そしてまた睨み合う私達。チャイムが鳴り響き、「では、」と教室を出ていく松葉先生。


あれ。これから私、無事に過ごせるかな。

「彼のために」→←「幸運に恵まれ」



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (38 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
14人がお気に入り
設定キーワード:恋愛 , LGBT , オリジナル   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:雪見だいふく | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mayu02071/  
作成日時:2019年1月9日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。