5話 ページ10
「うわ、何これ美味しい」
街をプラプラしていたら既に正午。
約束通り、由梨は私にパンケーキを奢ってくれた。
そして私は今、ハチミツがたっぷりと乗っているふわっとしたパンケーキを食べている。
甘党の私は、この上なく幸せに満ち溢れている。
それに対し、あまり甘いものが好きではない由梨は珈琲を飲みながら私をじっと見つめてくる。
「……なに？」
ずっと私を見てくる由梨にそう言葉を掛ける。
「幸せそうですね」
ふふっと笑う由梨は優しく、そう言葉を投げかけてくる。
多分、今の私達を周りから見たら年の差はあるが友達か何かに見られているだろう、そう感じた。
と、そこで私は少しの疑問を覚える。
「ねぇ、由梨ってさ……」
「なんですか？」
言葉を濁らせた私に、由梨はそう問いかけてくる。
そして、私は少し周りを確認してから口を開いた。
「皆がいるところではイチャつこうとしないよね」
と。私は静かに言葉を放つ。
すると、何を思ったのか由梨は顔をキョトンとさせると、
「じゃあ、今からキスでもします？」
「はぁ！？」
いきなりとんでもない爆弾発言をするもんだから私はかなり大きな声でそう声を出してしまう。
すると周りの人がチラチラと私達の方へ視線を向けてくる。
私は赤くなった顔で、コホンっと咳払いをしながら気を取り直す。
「声大きいですよ」と人差し指を自分の口に当て、しーっと私に伝える由梨。
「……する訳ないでしょ」
私は声の大きさを下げて、由梨の言葉に否定する。
すると由梨はいつものポーカーフェイスのまま、口を開く。
「さっき、イチャつきたいみたいなこと言ってたじゃないですか」
「ち、違うから……っ！」
「なんで外では静かなの」と必死に問いかける私。
全く教えてくれない由梨にめげずに私はずっと問いかけていた。
すると由梨は、はぁっと面倒くさそうに溜息をつくと静かに口を開く。
「咲良さんの可愛い姿を……他の人に見られるのが嫌なんですよ」
「言いたくなかったんですけどね」と少し顔を赤くして後頭部をポリポリと掻く彼女。
その言葉に予測もつかなかった私は、彼女につられてボッと顔が火照ってしまう。
「もう……ほんと、好き」
私は赤くなる顔を両手で隠し、そんな言葉がポロッと口から溢れてしまう。
そんな私に彼女はまたも幸せそうに笑いながら、
「言われなくても分かってます」
と言葉を放ったのだった。
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ゆ - 尊い (2019年5月12日 17時) (
レス) id: 0c30cd4e30 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのキッコーマン(プロフ) - 途中までしか見ていませんが、とても僕はこの作風好きです!これからも更新頑張ってください! (2019年5月5日 18時) (レス) id: 6ae7a02465 (このIDを非表示/違反報告)
雪見だいふく(プロフ) - ありがとう御座います！そんなこと、あるんですね笑 もしかしたらその小説の作者さんと気が合うかもしれません笑(？) (2018年12月31日 14時) (レス) id: b9c47787f2 (このIDを非表示/違反報告)
Fall ill apple(プロフ) - お気に入りさせてもらいました。余談ですが私の好きな小説の主人公(？)と同姓同名で少し驚きました…笑 (2018年12月31日 13時) (レス) id: c31f5fcd9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪見だいふく | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mayu02071/
作成日時：2018年12月29日 16時
