26話 ページ31
「……咲良さん」
彼女が言う“初デート”というものを終えて2日。
私は、あの日から少し由梨に対する見方が変わった気がする。
前までは顔が良いだけのただの不良だと思っていたのが、今では意外と純粋な不良と変化していた。
……不良が純粋っていうのはこの世にありえる存在なのか。
「会社終わりに、一緒にデートしましょ」
由梨のその言葉に「はぁ？」と声がもれる。いや、2日前にしたばっかりなのだが。……いや、2日前のもデートのつもりではなかったのだが。
会社終わりはゆっくり休みたかった私は「嫌だ」と断ったのだが、由梨はそれに耳を傾けるつもりは無いらしい。「どこ行きます？」とどんどん話を進める由梨にずっと拒否していたのだが。
既に、会社に行く時間になっていて私は「うわっ、もうこんな時間」と声をもらす。
「いってきます」
と私は慌てて鞄を持つと「じゃあ、駅前で」と由梨は私に手を振ってくる。いや、だからなんで私が行くことになってるんだ。
私は1つため息をつくと家の扉を開けたのだった。
「一ノ瀬さん、これもお願いします」
「は、はぁ」
いや、死ぬ。本格的にここの会社もブラックになりかけている。この仕事の量はあまりにもおかしすぎる。私を殺す気だろうか。
「今日、仕事の量多くない？」
私の同僚が、私にそう言葉をかけると「給料どうなるんだろう」とまず給料のことを口に出す私。それに同僚は「咲良らしいよ」と苦笑いをする。
これで給料が上がらなかったら、社長に文句でも言ってやろうか。そう考えていた瞬間、「はい、これ」と、私のデスクにドサッと置かれる紙の束。
「……はい？」
私がそう声を出し、顔を上げるとそこにはいつもと変わらないウザい顔をした部長の姿。そしてそう声を放った私に「いや、だから」と。
そして隣にいた同僚は、ドンマイとでもいうように私の肩にトンっと手を乗せてくる。
これ、まさかだが。
「明日中によろしくね」
はい、でた。出ました。お得意の「よろしくね」攻撃。この言葉が部長の口から出る時はほぼ100パーセントの確率で残業を任されるときである。
既に19時を過ぎているのだが。私の精神は既に殺られていて仕事をする気にならない。
私は、ぼーっとする頭でパソコンに向かい続けたのだった。
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ゆ - 尊い (2019年5月12日 17時) (
レス) id: 0c30cd4e30 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのキッコーマン(プロフ) - 途中までしか見ていませんが、とても僕はこの作風好きです!これからも更新頑張ってください! (2019年5月5日 18時) (レス) id: 6ae7a02465 (このIDを非表示/違反報告)
雪見だいふく(プロフ) - ありがとう御座います！そんなこと、あるんですね笑 もしかしたらその小説の作者さんと気が合うかもしれません笑(？) (2018年12月31日 14時) (レス) id: b9c47787f2 (このIDを非表示/違反報告)
Fall ill apple(プロフ) - お気に入りさせてもらいました。余談ですが私の好きな小説の主人公(？)と同姓同名で少し驚きました…笑 (2018年12月31日 13時) (レス) id: c31f5fcd9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪見だいふく | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mayu02071/
作成日時：2018年12月29日 16時
