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21話 ページ26

今の空気は最悪である。

元々、芸能人の桃子ちゃんは休みが少ない。そんなことは分かっていたのだが、この状況。
何故、赤崎由梨と2人きりにならないといけないのか。
私達は一言も発さないまま既に正午過ぎ。
しかし昼食も食べたいので、私は少し心を決め彼女に声を放った。



「赤崎由梨」


と、彼女を呼ぶ。すると、意外にも「何ですか」と普通に答えてくれる。


「昼食、食べる?」


そう聞くと彼女は「はい」と又もや普通に答えてくれる。彼女と喧嘩以外で話したことが無かったので意外にも普通なのだと確認出来た。すると、彼女は「あの、」と何かを言いかける。


「その、フルネームで呼ぶのやめてもらっていいですか」


と。私は、このままこの呼び方で呼ぶつもりだったのだが。
「そんな呼び方されたら、いつまでたっても仲良くなれませんよ」と言われ、その理由に私も不本意な事に少しだけ納得してしまう。



「じゃあ、なんて呼べばいいの」



彼女は少しだけ、私から目線を逸らすと顔を少し赤らめて声を放った。


「名前で、呼んでください」


私は少しそれにドキマギしてしまう。それもそのはず人のことを名前呼びするのは中々慣れていないのだ。確か名前呼びしているのは、桃子ちゃんと会社の同僚の1人だけである。
私は、慣れないことなので緊張する感情が謎に生まれてくる。



「由梨……さん」

「なんか嫌です」



キッパリ嫌だと言ってくる彼女は、私に容赦しない。しかし、さん付けの他に何と呼べばいいのか。



「由梨、ちゃん」

「ちゃん付けはやめてください」


ちゃん付けに慣れていないのか彼女は少しだけ顔を赤らめた。



「由梨……」

「……ッ、」



私は、初めて人を呼び捨てで呼んだ。やっぱり慣れなく、私は一気に照れが込み上げてくる。
しかし、私にも勝る程に顔を赤くする彼女が目に入った。



「そ、それでいいですから」


と、少々上から目線なのに苛立ったが。
私から顔を背けた彼女の耳は、これでもかと言うほど真っ赤だった。

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設定タグ:百合 , GL , 恋愛   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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- 尊い (2019年5月12日 17時) (レス) id: 0c30cd4e30 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのキッコーマン(プロフ) - 途中までしか見ていませんが、とても僕はこの作風好きです!これからも更新頑張ってください! (2019年5月5日 18時) (レス) id: 6ae7a02465 (このIDを非表示/違反報告)
雪見だいふく(プロフ) - ありがとう御座います!そんなこと、あるんですね笑 もしかしたらその小説の作者さんと気が合うかもしれません笑(?) (2018年12月31日 14時) (レス) id: b9c47787f2 (このIDを非表示/違反報告)
Fall ill apple(プロフ) - お気に入りさせてもらいました。余談ですが私の好きな小説の主人公(?)と同姓同名で少し驚きました…笑 (2018年12月31日 13時) (レス) id: c31f5fcd9e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雪見だいふく | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mayu02071/  
作成日時:2018年12月29日 16時

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