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18話 ページ23

私は、今とても気になることがある。


まず初めに違和感を覚えたのは昨日、由梨に掛かっていた首元のネックレスである。
いつもなら、ジャラジャラしたような不良感溢れるネックレスを3つ程重ねて付けていたのだが。

昨日は何故だか星マークのついた可愛いネックレスを付けていた。まぁ、一応年頃の女の子だから可愛いものでも身に付けたくなったのかとその時は思っていた。


しかし、さっき桃子ちゃんに出会うと色違いのお揃いのネックレスを付けていた。

そう、私はこれがとても気になっているのだ。


そこで隣で無闇にお菓子を食べている由梨に恐る恐る声をかける。



「ねぇ、由梨」

「……なんです?」



今も尚、そのネックレスを身に付けている由梨に腹が立ってくる。これは、私にわざと見せつけているのか。それとも、私に飽きたと遠回しに言いたいのか。



「そのネックレスさ……」



私がそう言うと「これですか?」とネックレスを手で触る由梨。私はそれに「桃子ちゃんとお揃いでしょ」と直球に尋ねる。
すると、彼女は「あぁ、はい」と躊躇う様子も見せずに即答。



「桃子ちゃんの方がいいんだね」



と。自分でも相当面倒臭い女だな、と感じる。それを言うと「え?」と少し驚いた様子の由梨。
すると由梨は、申し訳なさそうに声を放つ。



「前に、お揃いとか柄じゃないって言ってたので……」



私はそこで「あっ」と声をもらす。
そう言えば、そんなこと言ったような言ってないような。
由梨に急に「お揃いとかどうです?」と聞かれた時にそう言ってしまった気がする。



「桃子さんが、お揃いしようって誘ってくれたんですよ」


この状況、他から見たら私の逆ギレじゃないか。
私は前に言ってしまったことを今更後悔する。



「あの時は……恥ずかしかっただけで……」


私は俯きがちにそう声を放つ。


「私だって、お揃いとかしたいし……」



その言葉に由梨も驚いた様子を見せる。しかし、1番驚いているのは私だろう。もう少しで三十路になるアラサーが何言ってんだ、と自分で言った言葉に恥ずかしくなる。

すると由梨は私の手を持ち、何かを私の手に入れる。
それを見ると、キラキラと光る星。


「え、これ……」


すると優しく口角を上げる由梨。「秘密で買ってきちゃいました」と。「このまま渡せないかと思ったんですけどね……」と眉を下げて自虐気味に笑う由梨に、愛しみが湧いてくる。

私は、幸せ者なのだと再確認出来たのだった。

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設定タグ:百合 , GL , 恋愛   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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- 尊い (2019年5月12日 17時) (レス) id: 0c30cd4e30 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのキッコーマン(プロフ) - 途中までしか見ていませんが、とても僕はこの作風好きです!これからも更新頑張ってください! (2019年5月5日 18時) (レス) id: 6ae7a02465 (このIDを非表示/違反報告)
雪見だいふく(プロフ) - ありがとう御座います!そんなこと、あるんですね笑 もしかしたらその小説の作者さんと気が合うかもしれません笑(?) (2018年12月31日 14時) (レス) id: b9c47787f2 (このIDを非表示/違反報告)
Fall ill apple(プロフ) - お気に入りさせてもらいました。余談ですが私の好きな小説の主人公(?)と同姓同名で少し驚きました…笑 (2018年12月31日 13時) (レス) id: c31f5fcd9e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雪見だいふく | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mayu02071/  
作成日時:2018年12月29日 16時

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