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69 相談所? ページ34

「エミさん」
「な、なに?なに?」
「蝶に毒を持ってる個体っているん」
「…え、居るには居るけど…」
「その毒の成分教えて。再現する」
「え、えぇ…」


俺は今、ショッピにそう迫られて困っていた。
ドクチョウやドクガなど、いるっちゃいる。
でも、それをここで呼び出すのには時間がかかるし、まず毒の成分を調べることが難しいだろう。
俺はそう彼に何回か説明したのだが、全然引き下がってくれない。


「な、なんでそんなに蝶の毒を調べたいん」
「……俺はまだ、弱いから…」
「…?」


彼が俯き、静かに呟く。
いつも気丈に振る舞い、誰にも弱音を吐かなかった彼にしては珍しい顔だ。
…これは、先輩としても協力しないと。
俺は蝶を窓から大量に招き入れた。


「…ショッピ君は、弱くないよ」
「……」
「少なくとも、俺よりも強いし」


集まった蝶達に「毒を持つ蝶を呼んできてくれ」と頼む。
一斉に様々な方向へと散っていった蝶達は、うろうろと彷徨った後、急に同じ方へと飛んでいった。
多分、そっちの方に毒を持つ蝶がいるのだろう。
なるべく速く、連れてきてほしいが…。


「…俺、今回の戦いで思い知ったって言うか…」
「いやいや、大活躍だったやん」
「それはゾムさんがいたからと言うか、周りの人の力が大きかったから…」
「そんなもんちゃう?」
「…そりゃ、いつも支えられる側のエミさんは当たり前かもしれませんけど…」
「うん、そんなもんやで。全部一人でやろうとするからアカンねん」


俺からすれば、ショッピは羨ましい。
能力だって、俺は蝶の力を借りなければならないのに、ショッピは自分で毒を作り出すことができる。
身体能力も高いし、先頭切って戦える彼が、めちゃくちゃ羨ましい。
たった一回周りに助けられたから何なんだ。
俺は助けてもらうことでしか、戦えないのに。
俺が少し憂鬱な気分になり、ショッピを見つめていた、その時。
ドアが開いた。


「…あ、エミさん!」
「…あれ?ロボロ?」
「いたいた!ちょっと相談したくてさぁ!」


ロボロが部屋に駆け込んでくる。
小柄な彼はドアを開けた勢いのまま突っ込んできて、ショッピの体にぶつかった。


「うわっ!あ、ショッピやん」
「…どうも」
「その、相談って?」
「うん。一個提案というか、やってみたいねんけど…」


ロボロが目の前にやってきて、天と書かれた紙の下から俺を見つめる。
その目はいつもよりも輝いていた。


「蝶に俺の能力を使って、偵察機とか作れへん?」



 

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フール(プロフ) - アイウエオだよさん» 一応ピポポポのつもりです。分かりづらくてすみません…。ピポポポを使うところは話数的に自然消滅しました…。能力的には某竜依頼のパルプン○です。 (2019年4月3日 2時) (レス) id: baf0519c25 (このIDを非表示/違反報告)
アイウエオだよ - 鬱先生の“あの能力”とは‥‥‥ (2019年4月3日 1時) (レス) id: 7bcfa840f4 (このIDを非表示/違反報告)
フール(プロフ) - テルさん» ありがとうございます…!これから少し忙しくなるので、更新が遅くなってしまうかもしれませんが、頑張ります! (2019年3月25日 20時) (レス) id: baf0519c25 (このIDを非表示/違反報告)
テル - 更新来た!無理せず頑張ってください! (2019年3月25日 19時) (レス) id: ed9aff9576 (このIDを非表示/違反報告)
フール(プロフ) - d!すこすこさん» ありがとうございます!なるべく早めの更新を心がけて、頑張ります! (2019年3月20日 14時) (レス) id: baf0519c25 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:フール | 作成日時:2019年3月20日 12時

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