６１ 彼女の行方 ページ26
「…落ちついた？」
「……」
「寝たんか？」
「……」
「…おやすみ」
返事はないが、規則正しい寝息が答えだった。
ソファーで涙を流しながら眠るショウの体へ、毛布をかけてやる。
起きたら俺の匂いが臭いとか言って、怒るのだろうが、彼はその分ちゃんとお礼を言ってくれるはずだ。
妙な関係だが、彼は俺の事が大嫌いで、それでいて誰よりも俺の事が大事らしい。
いつかは忘れたがちょっと前、彼に俺とAのどっちが大事かと訊いたら、無言で睨まれたことがあった。
決められなかったんだろうと思うと、ほっこりしたのを覚えている。
「……」
彼のネクタイを緩めてやり、俺は部屋を出た。
この様子からして、ショウは痛み止めの薬やらを受け取らずに医務室を出たのだろう。
俺の姿を見たかったのか、過労のしんぺい神を気遣ったのか。
どちらにしても、馬鹿な奴だ。
「…しんぺい神さん」
「リョウ、どうしたん？」
「ショウの薬、貰いに来たんやけど…」
「ああ、助かるわ」
しんぺい神が差し出した薬を受け取る。
礼を言って立ち去ろうとすると、何か思い出したのか、引き止められた。
「トントンが呼んでたから、グルッペンの部屋に行ってきて」
はて、呼び出されるようなこと、しただろうか。
「来たか」
「失礼します…」
グルッペンの個室に入ると、真っ先にトントンの姿が目に入った。
その隣では、グルッペンがベッドで眠っている。
軍服を脱いで簡単な私服で眠る彼は、普段の姿よりも小さく見えた。
「何の用で」
「Aについてや」
「……」
「単刀直入に言うで。Aは死んでない」
「え？」
Aが、生きている…？
俺達の目の前で食べられてしまった彼女が…？
信じられなくて、俺は口に手を当てた。
生きてる？
そんなの、何で分かるんだ。
「……状況が整理できてないのは、俺もや。けど、指輪の反応があった。
あの子は生きとる」
「っ、ちょっと、分からん」
「よう分からんのは俺もや」
「……Aは、生きてるんやな…？」
「…そうや」
「っ…！」
目から涙が零れ、俺は床に崩れ落ちそうになった。
深く息を吐きながら震える俺の背に、トントンが手を添える。
ショウにも報告しなければ。
彼はきっと泣いて喜んでくれるだろう。
もしくは全く信用してくれないかのどちらかだ。
「……これだけ伝えたかってん。今日はもうゆっくり休み」
「っ、ありがとう…」
俺はぐしゃぐしゃの顔で、何度も礼を言った。
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フール(プロフ) - アイウエオだよさん» 一応ピポポポのつもりです。分かりづらくてすみません…。ピポポポを使うところは話数的に自然消滅しました…。能力的には某竜依頼のパルプン○です。 (2019年4月3日 2時) (
レス) id: baf0519c25 (このIDを非表示/違反報告)
アイウエオだよ - 鬱先生の“あの能力”とは‥‥‥ (2019年4月3日 1時) (レス) id: 7bcfa840f4 (このIDを非表示/違反報告)
フール(プロフ) - テルさん» ありがとうございます…！これから少し忙しくなるので、更新が遅くなってしまうかもしれませんが、頑張ります！ (2019年3月25日 20時) (レス) id: baf0519c25 (このIDを非表示/違反報告)
テル - 更新来た！無理せず頑張ってください！ (2019年3月25日 19時) (レス) id: ed9aff9576 (このIDを非表示/違反報告)
フール(プロフ) - d!すこすこさん» ありがとうございます！なるべく早めの更新を心がけて、頑張ります！ (2019年3月20日 14時) (レス) id: baf0519c25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フール | 作成日時：2019年3月20日 12時
