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30 侵入者その2 ページ32

「っ、また侵入者かよ…!」
「…すまん、邪魔するわ」


俺、ショッピはひたすら混乱していた。
目の前にいる男、侵入者が、正座の姿勢で俺を見つめているからだ。
何がしたいのか分からないが、彼からはハッキリとした敵意も殺意も感じる。
敵であることは確かなのだろうが、なんだこれは。


「…何がしたいんよ、お前」
「ここに、Aって子が居るはずやねん」
「誰それ?」
「昨日、ここに来た少女や」
「ああ、侵入者その1か」
「その子を呼んでくれへんか?」
「何で」


そう聞き返すと、男は言いにくそうに視線を落としたが、キリッと顔を上げた。
イケメンでも何でもない普通の奴の決意顔なんて、あんまり見たくないんだけどなぁ。


「その子には、死んでもらわなアカン」
「…じゃあ、ムリ。あの子は俺らの仲間だから」
「……そうか、もう…」


男が勿体ぶって悲しそうに?いや苦しそうにそう呟く。
俺は既にナイフを構えて待機中で、いつアイツが襲いかかってきてもいいようにしていた。
だが、男は正座を崩すことなく、そのまま地面に手を付いた。
…嘘だろ、まさかこいつ、敵にそんなことするのか?


「…お願いします」


そいつは、地面に頭を擦り付けた。
何が目的でコイツはこんなことをしているんだ?
土下座をされても、俺には仲間を差し出すことなんて絶対にできないのに。
男はその姿勢を崩さず、更に続ける。


「Aが死なないと、俺の相棒が死んでしまうんです」
「だからって…」
「俺の名前はリョウ。これをAに伝えて下さい。それだけでいいんです」
「…俺は仲間を売ることなんてしない」
「……頼むから…!」


リョウと名乗った男の悲痛な声が俺の耳に何度も訴えかけてくるが、俺の回答が変わることはない。
その土下座する首に向かい、俺はナイフを振り下ろした。
だがそのナイフは、リョウの小さな刀によって受け止められてしまう。
なんだ、戦う意志はあるんじゃないか。


「……戦いたくないねん…!ショウが死ぬなんて、嫌やから…!」
「…だから何?俺は仲間を売ることも、逃げることもせんから」
「っ…!」


彼が脇差…?それぐらいの刀を握り、能力を放つ力を溜めている。
そこに一気に近付き、俺は毒液を手の中から放った。
コイツ、遅いな。
俺の速さについて来れてない。
これなら勝てるかも、と思ったとき。
毒液が見えない壁のような物に弾かれた。


「シールド…?」
「…お前が悪いんやぞ…!」


前言撤回。
コイツ、強い。


 

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みょん - 夢主ちゃん五感を消すどころか操っちゃった (2019年8月26日 15時) (レス) id: 58ac6e7e16 (このIDを非表示/違反報告)
フール(プロフ) - ひよっ子さん» ご感想ありがとうございます!頑張ります! (2019年3月17日 19時) (レス) id: baf0519c25 (このIDを非表示/違反報告)
ひよっ子 - 主人公ちゃんの悲しい過去など とりあえず全部面白いです これからも頑張ってください!!(≧∀≦) (2019年3月17日 18時) (レス) id: a20f220c99 (このIDを非表示/違反報告)
フール(プロフ) - 兎危@ファンマークは子兎さん» チノ氏のキャラがまだ定まってないので探り探りですが…。これからも結構登場させるつもりです。 (2019年3月17日 9時) (レス) id: baf0519c25 (このIDを非表示/違反報告)
兎危@ファンマークは子兎 - ち、チノ氏…!?!?まさか、チノ氏を書いてる人が居たなんて……!感激ですううううう(新人組推し) (2019年3月17日 9時) (レス) id: 029d2a2f18 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:フール | 作成日時:2019年3月15日 17時

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