5、タイムリミット、左様なら ページ5
××
タイムリミット。時間切れ。
その言葉の意味は否が応でも理解することが出来た。祖母は自由奔放な旅人である母とは正反対の、些か厳格過ぎるひとだった。私がヨコハマに行くと知った時の、あの蔑視の目は一生忘れることができないだろう。
「……A、知り合いか」
私達の間に流れる微妙な雰囲気に耐えられなくなったのか、国木田先輩が小さな声で呟いた。その言葉を静かに肯定し、射抜くようにこちらを見据えるお祖母ちゃんを見つめ返す。
長い沈黙の末、先に口を開いたのはお祖母ちゃんだった。
「A、荷物を纏めなさい」
「……お祖母ちゃん……ですが、」
「A」
「……っ」
お祖母ちゃんに手を掴まれ、強制的に椅子から立ち上がらされる。握られた手が、ずきずきと痛んだ。お祖母ちゃんが愕然としている国木田先輩に向き直る。
「今まで孫がお世話になりました。本日限りでこの子は退社させて頂きます」
「は……？」
驚きのあまり口を半開きにする国木田先輩を置いて、お祖母ちゃんは探偵社から出る。掴まれた手を振り払うことができず、私はただ従った。
「……お祖母さま……どう、して……」
「迎えに来たのよ。もう�猯広瓩禄�わり。
……十分に楽しんだでしょう？満足でしょう？旅は終わり。帰るべき時が来たのよ」
旅の、終わり。
何時か、お別れの日が来ることを私は知っていた。でもそれが真逆、こんな形で、お祖母ちゃん直々に旅の終わりを告げられるとは思いもしなかった。
「あれ、Aちゃん……？」
階段から降りると、中島先輩がうずまきの扉から出てきた。彼は私の隣にいるお祖母ちゃんにすぐ気づき、不思議そうな顔をする。
「A、此方の方は？」
「……同僚です。探偵社の」
「そう」
小さく頷いたお祖母ちゃんは私の手を握る手に力を込め、中島先輩に頭を下げる。いつも孫がお世話になっています、と。その言葉を聞いて私とお祖母ちゃんの関係に気づいたのか、中島先輩は表情を綻ばせた。
「今日限りで、この子は探偵社を退社するんです。本当に今まで孫がお世話になりました、同僚さん」
「……え？」
中島先輩の顔が怖張り、その朝焼けの瞳は大きな動揺で揺れていた。そのまま何事もなかったように通り過ぎようとするお祖母ちゃんにハッとし、慌て道を塞ぐ。
「Aちゃん……た、退社ってどういうこと！？」
「退社は退社。そのままの意味ですが？」
「僕はAちゃんに聞いているんです！」
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柊あんず(プロフ) - 乳酸菌 チーズさん» こちらの方にもコメントありがとうございます！目……目、大丈夫ですか！？ムスカ大佐！？((( (2020年1月25日 21時) (
レス) id: 5d7d3376c6 (このIDを非表示/違反報告)
乳酸菌 チーズ(プロフ) - 目ッ…目がァァ……！！！← (2020年1月25日 20時) (レス) id: df6c59ac1d (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - 果汁ジノ％さん» 国木田さんがいたのはアニメですね！確認しましたがやっぱり原作のパーティーに国木田さんはいなかったのでもう既にあの時には捕まっていたんだと思います！よってこれは伏線ではありません……(笑) (2020年1月25日 19時) (レス) id: 5d7d3376c6 (このIDを非表示/違反報告)
果汁ジノ％(プロフ) - 原作では国木田さんもパーティーに出ていたような…まさか、逮捕の時期が早まったのも伏線なのか…！？ (2020年1月25日 19時) (レス) id: 119f59d457 (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - ひいやさん» コメントありがとうございます〜！33話の伏線、そして腕の件は四部でちゃんと回収するのでご安心ください〜！「緑の灯」についてはフィッツジェラルド様の著者「グレート・ギャツビー」からの引用になるので、完全に史実ネタですね！ (2020年1月25日 11時) (レス) id: 5d7d3376c6 (このIDを非表示/違反報告)
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