びょういん。 (ページ8)

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中に入って、患者用のイスに座る。

壱馬「ごめん、お待たせ。」

壱馬が帰ってきて、緊張で心拍が上がる。

壱馬「そんな顔せんといて？……大丈夫、いつもと同じやで。

. ちょっと、胸の音聴かせてな。」

「……嫌だ……」

聴診器を持った手が近づいてきて、思わずその手を振り払ってしまった。

壱馬「北人、ちょっと抑えてくれる？」

北人「うん。A、ごめんね～」

北人は私の後ろに回って、手を抑えて服に隙間を作る。

「ねぇ、北人…離してや………」

身を捩らせて抵抗するも、北人はガッチリ抑えてるから、抵抗できない。

壱馬の手が、北人によって開けられた隙間から入ってくる。

北人「A、動かないの。」

壱馬「A、息止めんといて？深呼吸やで。」

「ｽｰﾊｰ……ｹﾎｯｹﾎｯ……ｽｰﾊｰ…ｹﾎｯ……」

咳のせいで聴きにくいのか、眉間にしわを寄せて真剣に聴いてる壱馬。

壱馬「咳出ちゃうな、もうちょっと頑張ってや…………」

壱馬は、チェストピースを動かして、何度も何度も聞き直している。

壱馬「ちょっと、北人、来て。」

壱馬は、北人をそばに呼んで、何かを耳打ちした。

壱馬「A、今日はもう仕事しなくてええから、

. 今から、採血と点滴とレントゲンだけ頑張ってきて？」

「……壱馬はやってくれないの？」

壱馬「ごめんな、この後、カルテまとめへんといけへんから。」

壱馬がやっても、怖いのに知らない人だったらもっと怖いよ………

壱馬「A、北人がやってくれるから、頑張ってきて。」

「……うん………」

北人「A、行こ。」

北人に手を引かれて、診察室を出た。

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