ボスの命令 ページ44
ザンザスがAにそう指示を
出したのなら。
Aがここに来る事はないだろう。
ス「・・・。」
今のAは・・・・
ザンザスがいるから生きていると言ってもいい。
ザンザスの命令が全てであり、
ザンザスに捨てられる事を恐れ、
ザンザスの道具として生きている。
Aが自分の意思を殺し続ける限り。
Aが心を殺し続ける限り。
変わらない・・・。
もし、そんなAが・・・・
ここに来るとしたら・・・・。
ザ「？・・・・・・・。」
それは・・・・。
Aが生き方を変えた時。
「スクアーロ・・・。」
ス「！！」
路地裏に小さく響いた俺を呼ぶ声。
その呼ぶ声にそちらを向けば、
そこには・・・・Aが立っていた。
ス「っ！Aっ！？」
ザ「・・・。」
「・・・。」
オレンジ色に染まる路地裏でこちらを真っすぐに
見つめるA。
俺はそんなAを見て、Aの名前を呼ぶ。
Aは俺に近づくと、ゆっくりと俺に手を差し伸べた。
俺は戸惑いながらもAの手を取り、壁に手を
付きながらなんとか立ち上がる。
血が足りなくて、ふらつく俺の体をAは
支えてくれた。
ス「・・・・・。」
「・・・。」
なぜ・・・
Aがここに・・・・。
ザ「・・・おい。俺の命令はどうした・・・。」
「・・・。」
ス「っ！」
俺がそんな事を考えているとザンザスはAに
近づき、Aに話しかけた。
そうだ・・・
ザンザスはAに、ここに来ないように
指示を出したハズだ。
しかし。
Aはここに居る・・・。
ス「・・・・・。」
Aがボスの指示に逆らった。
今までのAからは考えられない行動だ。
一体、Aにどんな心境の変化があったのか。
「ボス・・・ごめんなさい・・・。」
ス「！」
ザ「・・・。」
俺の体を支えながら、Aはザンザスを見上げると
小さな声で言った。
「・・・ごめんなさい・・・私・・・。」
ス「・・・。」
ザ「・・・。」
Aはそこまで言うと俯いてしまう。
気づけば、俺を支えるAの手は微かに震えていた。
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作者名：猫のこたつ | 作成日時：2019年7月30日 10時
