心配する気持ち ページ37
私は黙ってルッスーリアを見つめ
静かに頷く。
「・・・・。」
あのスクアーロが帰って来ない。
そう聞いて、私はスクアーロを心配した。
スクアーロが苦しんでいるかもしれない。
死にかけているかもしれない。
そう考えて・・・心配した。
「・・・・・・。」
そう考えた所で、先程まで薄れていた気持ち悪さが
ぶり返して来る。
心の奥に押さえ付けていたものがドクドクと
蠢き出す。
ル「そうよね、私も心配よ。昨日から帰って来ないんだもの。スクアーロじゃなきゃこの書類の山は片付けられないわ。私じゃ全然進まなくて大変だったのよ。」
「・・・・。」
静かに頷いた私を見て、ルッスーリアは話を続ける。
ル「Aちゃん・・・。心配する気持ちってどういう事なんだと思う？」
「・・・・。」
ルッスーリアはソファーから立ち上がると私に近づく。
心配する・・・気持ち？
そんな事、考えた事ない。
ル「私達がAちゃんを心配する気持ちと、Aちゃんがスクアーロを心配する気持ちは・・・・同じものなのよ。」
「・・・。」
私の目の前まで来るとルッスーリアは私を見つめる。
ル「あなたがスクアーロを心配するように・・・私達もAちゃんが心配なの。」
ルッスーリアはそう言うと私の頭を優しく撫でた。
「・・・・。」
私がスクアーロを心配するこの気持ちと・・・
皆が私に心配する気持ちは同じ。
皆は・・・私にこんな風に思ってくれている？
ル「心配する心って、相手の事を思いやる気持ち。気遣う気持ち。相手の事を大切に思っているからこそ生まれる気持ちなのよ。」
「・・・。」
相手を思いやる・・・気持ち。
大切に思っている相手にそう思うという事・・・。
そう言われて考える。
「・・・・。」
大切に思う気持ち。
確かに、私はここの皆が大切だ。
私の身近にいる人達には元気でいて欲しいし、
死んで欲しくない。
私がスクアーロを心配しているのは・・・
あのうるさい叫び声も、
私を抱きしめるあの力強い腕も、
私を見つめるその瞳も、
私を心配してくれる彼の気持ちも・・・。
私にとって、そんなスクアーロが大切な存在だから？
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作者名：猫のこたつ | 作成日時：2019年7月30日 10時
