黒 ページ26
Aside
マ「A、この中ならどの色が好きだい？」
「・・・。」
私はマーモンに話しかけられ、顔を上げる。
最近はマーモンと一緒に仕事する事が増えた。
雑用の仕事をマーモンと一緒に担当し、スクアーロに
終わった仕事を届ける。
仕事は少ない。
マーモンが言うには仕事が少ない時期なのだと言う。
そして、
仕事が終わるとマーモンはこうして、私によく話しかけて
来るのだ。
マ「Aの好きに選んでみてよ。」
「・・・・。」
マーモンは数枚の色のついたカードを私の前に並べる。
カードを並べたテーブルにはマーモンが入れてくれた
ハーブティーがカップから良い香りと共に湯気を
立てていた。
テーブルに並ぶカードの色は、
黒・白・黄色・青・赤・緑など様々だ。
マ「・・・・Aの好きな色でいいんだよ。」
「・・・・・・。」
マーモンはそう言って私を見つめている。
一体、マーモンは何がしたいのだろうか？
マ「カードを手に取ってみて。」
「・・・・・。」
私はそう言われてカードを眺める。
この中で好きな色・・・？
好きな・・・・？
「・・・・。」
私はしばらくカードを眺めた後、黒色のカードを
手に取った。
マ「・・・その色が好きなのかい？」
「・・・・・。」
私は手に持った黒いカードを見る。
真っ黒なそのカードは闇の色。
好きかどうかはわからないけど、この色は私に
近い色のような気がした。
マ「なんでその色が好きなんだい？理由は？」
「・・・・。」
マーモンは私にこのカードを選んだ理由を聞いている。
しかし、私は黙ったまま。
そんな事聞いてどうするのだろうか。
知った所で・・・何もない。
私が黙ったままでいると、マーモンは私から
カードを取った。
マ「黒色から受け取るイメージは絶望・孤独・恐怖・・・。」
「・・・。」
マーモンはそう言いながら持っていたカードを
宙に浮かせる。
これは・・・幻覚なのだろうか。
マ「このカードを選ぶ人は無口。打ち解けない。秘密主義。干渉拒否。他人への恐怖。なんて事がある人が多いんだよ。」
「・・・。」
私は宙に浮くカードを見つめる。
マ「どうだい？当たってるかい？」
マーモンはそう言うと宙に浮くそのカードを
手に取って、小さく笑った。
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作者名：猫のこたつ | 作成日時：2019年7月30日 10時
