夜空を見上げる鮫と月 part８ (ページ24)

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愛し続けるページ24

スクアーロ side

俺は薄暗い自分の部屋で、ソファーに腰掛けながら
脱力する。

　ス「・・・。」

そんな中で思い出されるのは先程の事。

今から数時間前

マーモンが幻覚を使い、Aの深層心理を
映し出した。

そこで見たのはAの過去。

Aの心を写し出した幻覚は、なぜAが
無表情なのか、

なぜ、話すことが少なく無口なのか、

どうして、今の状態になってしまったのか。

全ての原因を知る事ができた。

しかし

それと同時に、俺はショックを受けたのだ。

Aは・・・

俺達とは物の捉え方が違った。

俺の好意はまったく伝わらない。

それどころかAはそれを拒絶するような心理が
働いていた。

キスをしていた時も、

Aを抱いた時も、

Aは本当に何も理解していなかったのだ。

　ス「・・・・。」

俺はソファーの背もたれに寄りかかり、天井を見上げる。

Aはしばらくの期間、マーモンと一緒に
行動する事に決まった。

しかし、仕事は簡単なものを続けてもらう。

今のAから仕事を取り上げるのは、Aの
思って居る、道具としての存在価値を喪失する事に
繋がりかねない。

その為、あえて仕事を続けてもらう事となった。

そして、カウンセリングにマーモンが対応し、
俺達は今まで通りに過ごす事が決定した。

ス「・・・。」

俺は・・・Aを愛している。

しかし・・・・

今、Aに俺の想いを伝える事はできない。

それでも・・・・

Aの事を・・・・

愛し続ける事は出来る。

俺はこれからも、Aを支えて行きたい。

ス「・・・。」

俺は部屋の隅に佇んでいる棚へと視線を向けた。

そんな棚には、１つの写真立てが置かれている。

しかし。

薄暗い部屋の棚に置かれたその写真立ては
伏せられた状態で

ここからでは、写真を見る事はできなかった。

ス「・・・。」

俺は、

ただ、ただ。

手の届かない、遠いその写真立てを

ソファーから眺める事しかできなかった。