爪を出す猫 ページ3
俺はAを愛している。
この年で俺に忠誠を誓い、俺に付いて来るAを。
美しく、俺に全てを捧げるAを。
ザ「・・・愛してる」
俺はそうAに囁き、キスを続けようと顔を近づけた。
その時だった。
ドンッ・・・
ザ「！」
「っつ！！」
俺の唇がAに触れる直前、Aは突然俺の胸を
突き飛ばした。
Aはその衝撃で後ろによろめき、俺の膝の上から
床に転げ落ちる。
ザ「・・・おい。なんの真似だ。」
俺はいきなりの事に驚きながら、Aを睨み下ろす。
Aが俺にこんな事をするなんて初めてだった。
なんでも受け入れて来たAが俺を初めて
拒絶しやがった。
可愛がっていた飼い猫が主人に爪を出すなんて
許されるハズがねぇ。
そんな事を考えはしたが・・・
ザ「・・・・。」
あのAがなぜ、急にこんな事をしたのか。
俺はそちらの方が気になり、床に倒れたAを見る。
ザ「・・・。」
「・・・。」
見れば、Aは小さくうずくまり震えていた。
ザ「・・・・おい。」
「・・・・・・・。」
俺はそんなAに話かける。
しかし。
返事は無い。
反応も無い。
俺は倒れているAの顔を覗き込んだ。
ザ「・・・・。」
Aは・・・・
顔面蒼白で、今まで見た事の無いような顔をしていた。
それはまるで・・・
何かに絶望したかのような顔だ。
小さく体を丸め、
耳を両手で塞ぎ、
乱れた呼吸を繰り返す。
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作者名：猫のこたつ | 作成日時：2019年7月30日 10時
