一番そばに ページ19
「・・・。」
ザ「・・・・。」
気が付くと、私の目の前にはボスのザンザスだけが
立っていた。
ボスは眉間にシワを寄せながら私を見ている。
その眼差しは睨んでいるようにも見えた。
ボスは他の皆と違って、表情から感情を
読み取るのが難しい。
「・・・。」
ボスは私に居場所を与えてくれた。
道具として、私を使ってくれる。
しかも、私がトラブルを起こす度に、ボスは私を
助けてくれる。
それは、使える道具を長く保てるように。
大事に扱っているという事だけ。
それでも。
私は嬉しかった。
それは、道具の私が
必要とされている証だから。
「・・・。」
私はこのヴァリアーに来てから・・・変わった。
皆が居て、居場所がある。
道具として必要とされる。
それだけで、私は生きていける。
真っ暗だった私の世界に、小さな光が差し込んでいる。
その光は小さいけれど、温かくて。
心の奥がじんわりとする。
「・・・・。」
ザ「・・・。」
ボスをしばらく見つめていると、ボスは踵を返し
暗闇へと歩いて行った。
ス「・・Aにはいらねぇ物かもしれねぇが・・いつも世話になってるからな・・気に入らねぇなら捨てちまってもいいからよ。」
「・・・。」
ボスの歩いて行った方向を眺めていると、
今度は後ろから話しかけられる。
そう言って、スクアーロがくれたのは
雫型の青いピアス。
綺麗な青い色をしているそれは、私の耳元で
小さく揺れる。
こんな私にプレゼントをしてくれたスクアーロ。
スクアーロは、私がヴァリアーに来てから
一番長く、私のそばに居てくれた人。
それは、私が担当していた仕事の関係もあるけれど
スクアーロとはよく一緒に行動した。
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作者名：猫のこたつ | 作成日時：2019年7月30日 10時
