雲が聴くのは月の歌 part３ (ページ8)

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悩みページ8

ツナ side

　山「獄寺のヤツ、遅いな・・・。」

　ツ「うん・・・。」

昨日と違い良い天気の中、屋上で俺と山本は獄寺君を
待っていた。

授業が終わった後、獄寺君は１人購買へ向かったのだが
獄寺君はなかなか屋上に姿を現さなかった。

・・・購買、混んでるのかな。

俺はそんな事を考えながら、空を見上げる。

空には白い雲が浮かんでいた。

　ガチャ・・・。

　ツ「！」

風に流されて行く雲を眺めていると、
屋上の扉が開く音が聞こえた。

そちらを見ると獄寺君がこちらに
向かって来ているのが見えた。

　山「獄寺、遅かったな！」

山本が獄寺君に声をかける。

　獄「・・・・。」

　ツ「？」

しかし、獄寺君は山本の声に返事を返さない。

俺は不思議に思いながら、獄寺君の顔を伺う。

　ツ「獄寺君・・・？」

俺達の前まで来た獄寺君の表情は暗く、
何か思い詰めているような表情をしていた。

　山「何か・・・あったのか？」

山本もそんな獄寺君の表情を見て、疑問に思ったのか
そう話しかけた。

すると獄寺君は静かに腰を下ろす。

俺達は黙ってそんな獄寺君を見つめる。

　獄「・・・今、Aに会ったんです。」

　ツ「えっ！Aちゃんに？」

俺がそう言うと獄寺君は頷く。

　山「Aがどうかしたか？」

山本がそう言うと獄寺君は何とも言えない表情になった。

　獄「・・・俺・・・Aの事・・・全然考えて無かったんです・・・。」

　ツ「・・・？」

　山「獄寺・・・？」

獄寺君はそう言うと拳を握りしめて俯いてしまった。

俺と山本は顔を見合わせる。

今までも、獄寺君はAちゃんの事で、いろいろ
考えたり、心配したりして、思い悩んでいる所を
見た事があったが・・・

ここまで酷く思い悩んでいるのを見るのは
初めてだった。