雲が聴くのは月の歌 part３ (ページ40)

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赤い瞳ページ40

ガシッ！

　「！！」

　雲「・・・・。」

僕は通り過ぎる彼女の腕を掴んだ。

すると彼女は立ち止まり、俯いていた
顔を上げ、僕を見る。

　雲「・・・・目。どうしたの。」

　「！」

彼女がずっと隠していた右目が
僕は気になっていた。

僕はそう言って彼女が押さえていた
手を掴み、目から離す。

　雲「・・・・。」

　「・・・・。」

彼女の右目からは血が滲んでいた。

白目は赤くなり腫れているようだった。

この状態では良く見えていないだろう。

　雲「・・・何があったの。」

　「・・・・。」

僕は思わず彼女に問いかけた。

今まで、彼女がどんな状況でも何も聞かなかった。

だけど、

今日、僕は初めて彼女に質問したのだ。

　雲「・・・。」

　「・・・・・。」

彼女はその質問に軽く笑うと、腕を掴む
僕の手をゆっくりと払った。

そして、

もう一度彼女は僕に小さく頭を下げると
僕から離れて行った。