雲が聴くのは月の歌 part３ (ページ32)

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見回りページ32

雲「・・・。」

僕は席を立つと学ランを羽織る。

もし彼女が前のように校内で1人過ごしているのなら、
ここへ連れ戻さなければならない。

彼女には仕事が残っている。

それに・・・・。

ここ最近の彼女の表情が僕は気になっていた。

その表情は今までで一番酷い表情だった。

辛そうで苦しみ、今にも泣き出してしまいそうな表情。

その表情は彼女が夢でうなされていた時と同じような
表情だった。

　
　雲「・・・。」

僕はそんな彼女が気になっていた。

なぜ、彼女はあんな表情で過ごしているのか。

なぜ、彼らと距離を置き続けるのか。

彼女はあの時、何と言っていたのか。

そんな疑問が頭の中で渦巻く。

　草「・・・見回りですか。」

僕が扉に手を掛けると副委員長が話しかける。

　雲「・・・そうだね。」

　草「・・・。」

僕はそう言って扉を開ける。

副委員長はそんな僕を黙って見ている。

　雲「ついでに、仕事をサボっている彼女を連れ戻して来るよ。」

　草「！」

そう言い残して、僕は応接室を出た。

静かな廊下に僕の足音が響く。

彼女を探して校内を見回るのは久しぶりだ。

　雲「・・・。」

彼女は・・・どこにいるだろうか？

僕はいつものように校内を見回る。

あの、1人で居続ける彼女を探して。