雲が聴くのは月の歌 part３ (ページ17)

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嘘ページ17

獄「A・・・俺は・・・お前の話・・・ちゃんと聞きたい・・・。」

　「・・・。」

　獄「Aが何で苦しんでいるのか・・・何で１人でいるのか・・・・。今はまだ話してくれねぇかもしれねぇけど・・・・俺・・・・ちゃんと聞くから・・・だから・・・・。」

隼人はそう言うと私を抱きしめる力を強めた。

　「・・・・。」

隼人は私の話を聞くと言っている。

もし声が出せていたら。

私は隼人に言えていただろうか。

　「＊＊＊＊」と。

きっと・・・言えない。

言えば隼人は傷ついてしまう。

助けたいと願う相手が「＊＊＊＊」と思っていると
知ったら・・・

きっと傷つく・・・。

私のこの願いは変わらない。

「＊＊＊＊」と願う。

だって・・・

そうしないと終わらない。

そう・・・終わらないのだ。

　「・・・。」

　獄「！」

私は隼人の背中に手を回し、隼人を抱きしめる。

隼人は私のその行動をどう受け止めたのか、
わからない。

私は抱きしめながら隼人を見上げる。

隼人はそんな私を見つめている。

でも、

私は隼人のさらに上、空に流れる雲を見ていた。

隼人は自分を見ていると思っているだろう。

でも、私はその雲に目を奪われていた。

　「・・・・。」

　獄「！」

私は見上げながら少し微笑む。

心配させないように。

傷つかないように。

私は笑って隼人に嘘をついた。