雲が聴くのは月の歌 part３ (ページ14)

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想いの音ページ14

「・・・。」

でも、私はそれを望まないし、
あの子のせいでは無い。

だから私は皆に心配させないよう無理やり
登校したのだ・・・。

だけど。

階段を下りている途中で隼人とぶつかって・・・

それで・・・。

私の姿を見た隼人は私を泣いていると勘違いした。

そして隼人は雲雀さんに泣かされたと思い込んで
そのまま応接室へ向かって階段を駆け上がって
行ってしまった。

私は熱で朦朧としていた意識の中で、
隼人に呼びかけていた。

違う。

雲雀さんは何も悪くない。

私が全部悪いの・・・。

しかし、

そんな私の想いは音にならず。

隼人は私を置いて行ってしまった。

私はなんとか隼人を止めようと後を追って
階段を登った。

だけど・・・

そこで私の記憶は途切れていた。

きっと私は力尽きてしまったのだろう・・・。

　「・・・・。」

私は隣に座る雲雀さんを見上げる。

雲雀さんが私をここへ運んでくれたのだろうか。

私の額に被せてあったタオルはまだ冷たかった。

つまり交換したばかり。

という事は雲雀さんはタオルが温まる度に交換して
くれていたという事。

ずっと寝ていた私に付き添っていてくれたという事だ。

自分の仕事も残っているのに、私を看病して
くれていたのだ。

　「・・・。」

雲雀さんは・・・

やっぱり優しい。

私はそんな事を考えながら再び目を閉じる。

何も言わない。

何も聞かない。

何も知らない。

だけど、

そばに居てくれる。

一定の距離を保ち静かに私を見守る。

　「・・・。」

私はそんな雲雀さんの優しさに包まれながら再び
意識を手放した。