雲が聴くのは月の歌 (ページ33)

今日:3 hit、昨日:28 hit、合計:183,562 hit

１人ページ33

ツナ side

　山「A、もうずっと１人なのか？」

俺達は今、３人でお昼を食べている。

今日もいい天気で俺達の頭上には青空が
広がっている。

しかし、そんないい天気なのに俺達の心は晴れない。

　獄「今日でもう１週間か・・・。」

　ツ「Aちゃん大丈夫かな・・・。」

俺達の心が晴れない理由。
それはAちゃんだ。

Aちゃんが転校してきてから１週間が経つ。

しかし、Aちゃんは転校してきたあの日から
１人で行動していた。

獄寺君は凄く心配しているようだが、
Aちゃんは１人になりたがっているらしい。

Aちゃんは授業に出ないでいつも
学校のどこかで１人過ごしているようだ。

それでもなんとか学校に来るのは、
獄寺君が説得したから。

学校にまで来なくなったらそれこそ本当に
１人になってしまう。

　獄「ここに呼んだのは・・・間違いだったか・・・。」

　山「獄寺・・・。」

　ツ「獄寺君・・・。」

獄寺君はそう言うと眉間にシワを寄せた。

Aちゃんを日本に呼んだのは獄寺君だ。

獄寺君はAちゃんの事を心配していて、
１人にさせてしまう事を気にしている。

Aちゃんは過去に何かがあり、
そのせいで声まで失っている。

そんなAちゃんが少しでも元気になれるように、
明るくなれるように、１人で抱え込まないように
獄寺君は日本に呼んだのだ。

だけど・・・

獄寺君の願うようには今の所いっていない。

Aちゃんは何を考えているのだろう。

俺はそんな事を考える。

なんで１人になりたがっているのだろう。

１人は寂しい。

声を失ってしまう程の事があったAちゃんが
１人になったらきっとその時の事を思い出して・・・
もっと苦しいハズ。

それなのに１人になりたがるのだ。

何か・・・理由があるのかな・・・。

俺達はこの場に居ないAちゃんの
心配をしながら弁当を食べる。

少し雰囲気の暗い中、弁当を終えると俺達は
静かに教室に戻った。