雲が聴くのは月の歌 (ページ18)

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伝わらないページ18

Aside

私は１人、教室に入る。

教室の中では他の生徒達が楽しそうに話をしながら
お弁当を食べている。

私は自分の席に着くと机に突っ伏した。

　「・・・・。」

私は今さっき起こった事を思い出す。

階段を下りていた私は足を踏み外した。

しかし、気づいた時には私の体は恐怖で動かなくなり、
私は目をつぶる事しかできなかった。

強くつぶった目からは溜まっていた涙が頬を
伝って零れ落ちる。
私はすぐにやって来る痛みを覚悟していた。

しかし・・・・。

気が付くと私は誰かに受け止められていたのだ。

見ればその人はなぜか学ラン姿だった。

私は思っても見なかった状況に理解が
追いつくのが遅れる。

私はその場から去ろうとするその人を
咄嗟に引き留めたが・・・。

　「・・・・。」

私は小さく口を動かし話す。
しかしその人は分からなかったようだ。

引き留めたのに何も言わない私にその人は少し
苛立ったみたいだが、話さない事が気になったのか
不思議そうな顔をしていた。

あまりにもずっと見つめるので、
私は逃げるように走ってその場から去ったのだ。

　「・・・。」

私はお昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴るまで、
しばらくの間１人で机に突っ伏し、顔を隠し続けた。